邪神、三人パーティを組む
ダンジョンとは、かつて邪神達が遊びで創り出した古代遺跡である。
内部は迷宮のようになっており、各所に宝箱が設置されている。階層ごとにフロアボスが配置され、倒すことで先に進める。
そして最深部にいるダンジョンボスを倒すことでダンジョンの所有権を手に入れることが出来る。
ダンジョンは放置していると中から大量の魔物が溢れ出す【大流出】が発生し、周辺地域に甚大な被害をもたらす。
ゆえに、ある程度は冒険者などの魔物討伐職がダンジョンに潜って魔物を狩る必要がある。
ちなみに、現在のところ、人類や魔族がダンジョンを完全に攻略した記録は全十三個中、三つだ。
アリシアは宿屋のベッドに座りながらその話を聞いていた。
「ダンジョンって、邪神の方々が創ったんですね」
「そうだ。昔は邪神達の間で人間ホイホイとか呼んでいたな」
「俺は、そんなダサいもん創らなかったけどな」
アズが嘲笑するように言った。
ラテはアズの発言を鼻で笑った。
「お前は燃やすことしか出来ない脳筋だからだろう?」
「なんだと......取り消せよ、今の言葉!」
ラテはアズの声をミュートした。
アリシアがラテに訊ねた。
「ラテ様はダンジョンをいくつ創ったんですか?」
「一つだ」
「ラテ様のダンジョンもオーバーフローを起こすことがあるんですか?」
「いや、我のダンジョンはそんな雑な創りはしていない。というか、我は人間ホイホイよりも守護のためにダンジョンを創ったのでな、オーバーフローを起こすからと冒険者達が入るような仕組みにしたく無かった」
「どういうことですか?」
「かつての我が眷属達は、死後によく墓荒らしをされていたからな。墓守として魔物が生み出されるダンジョンを創った。我のダンジョンの宝というのは、眷属達の遺品だな」
今回、A級冒険者のリアニスから共に挑もうと誘われたのは、【水底の邪神】クテーアの創り出したダンジョン【深淵湖】だ。
邪神クテーアは邪神の中でも最多の四つのダンジョンを創っており、かつては支配領域で略奪行為や人間を痛ぶることを愉しんでいた。
ラテは明確にクテーアは自分より下だと思っているが、クテーアもラテの方が下だと思っていた。
ダンジョン【深淵湖】に挑むにはC級以上であることが必要で、現在はオーバーフローが起こると予想されているため、大規模な冒険者の召集が行われている。
リアニスも同様に召集された一人で、ラテと共に緊急依頼として受けることを勧められた。
ラテ達は共に依頼を受けるか一旦保留し、今日までに返答を伝えることにしている。
ラテ達もC級になった以上はこの依頼を受ける必要はあるようだが、二人だけの方が力は使いやすい。
迷った結果、二人はリアニスと共に依頼を受けることにした。
リアニス・ダムナートは剣術の達人と名高いため、近接戦の技術があまり無いラテにとっては良い見本になると考えたからだ。
二人は冒険者ギルドに戻り、待っていたリアニスに共に依頼を受ける旨を伝えた。
リアニスは嬉しそうにしていた。
「本当かい!? とても嬉しいよ! 私はずっとソロだったから、君たちのような心強い味方がいてくれるととても助かる!」
「我としても、貴様の剣術を生で見てみたいし、ダンジョン攻略には興味がある。よろしく頼むぞ」
早速、リアニスとパーティーを組むにあたって軽い依頼を受けて連携を確認することにした。
依頼内容はゴブリンの討伐だ──




