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雷鳴が轟く中、一人の青年が街の中へと入る。

 息も絶え絶えでここまで必死に走ってきたのだろう。

 そんな青年を雨風が容赦なく横殴りにする。

 それでも青年を足を止めることなく走り続ける。

「おい、待て!」

 後ろから青年を追って兵士たちが駆けつけてくる。

 その声を聞いても青年は止まることなく走り続けた。

 兵士の一人が声を上げる。

「まずいぞ、これ以上王国領で帝国軍の兵士がうろついているのがバレるといらぬことに勘づかれる」

「だが、奴を逃がすわけには……」

 兵士たちが話す中、なおも逃げ続ける青年。

 嵐のせいか、風で前から樽が転がってくる。

 樽にぶつかり、転んでしまう青年。

 それを好機ととらえて兵士たちが迫りくる。

 青年はすぐさま立ち上がり、家の角を曲がる。

 角を曲がったところで腕を引っ張られる。

 何事かと振り向くとそこには金髪の男がいた。

 栄光と苦難の両方を味わったことがありそうな渋い面の金髪の男がフードを被って立っていた。

「心配するな。帝国の兵士たちからお前を守ってやる。帝国の敵は俺の友だ」

 そう言うと男は青年を引き寄せ、家の角の裏に青年を立たせた。なにか言おうとする青年に男は唇に指を当てて黙るよう指示した。

 青年が黙っていると帝国の兵士たちが後からやってきて、そのまま過ぎ去っていた。

「ここはちょうど死角となっててな。向こうからは見えないんだ」

 男が振り返ると青年は倒れていた。

 額に手を当てると熱を感じる。

「ひどい熱だ。これはどこかで手当てする必要があるな」

 男は青年をおぶり、

「お前には聞きたいことが山ほどあるんだ。ここで死なれちゃ困る」

 嵐の中、立ち去った。


「ほう、こいつは大した美形だ。男であるのが惜しいくらいだぜ」

 しゃがれた声を聞き、青年が目を覚ますと髪のない男が青年を覗き込んでいた。

「おっ、目を覚ましたみたいだな。おい、ジーク。こいつ起きたぜ」

「なにっ、本当か」

 ジークと呼ばれた先ほどの金髪の男がジョッキを下ろし、近寄ってくる。

「ここはどこだ」

 青年が尋ねると髪のない男が答える。

「酒場さ。愛と自由の牡鹿亭。このオレ、ダニエル・マーカスのやってる店だ」

 ダニエルが二ッと歯をむき出しにして笑う。

 青年はダニエルのことを気にも止めず周囲を見渡す。

「帝国の兵士たちは?」

「奴らなら帰った。この嵐の中、お前を見つけられずにな」

 ダニエルの代わりにジークが口を挟む。

「名を名乗ってなかったな。ジーク・ブランドー。傭兵だ。お前の名は?」

「……ゼノン。帝国の兵士たちからはそう呼ばれていた。名字はない」

「名字がないって、不思議な奴だな」

「俺が帝国の兵士から追われていたのと名字がないのには理由がある。……それは魔導人間と呼ばれる生まれつき魔法が使える人造人間だからだ」

「人造人間……」

 ジークとダニエルの二人は息をのんだ。

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