#3
マイホームに帰ると妻が何やら、ムゲンソウを干していた。
ムゲンソウ茶葉か?……いや、違った。
余りにも大量に干されている!
(な、何事??)
妻はにこやかにこう言った。
「干し草で屋根を作りましょう。」
「さ、三匹の……。」
そう言いかけて、咄嗟に口を噤んだ。
(流石に三匹のこぶた読んだ?とは言えないよね……。)
ビニールシートからムゲンソウの干し草に屋根が変わった。そう思ったら、妻は
「ビニールシートは外しませんよw」
って……。
(どういうこと?やっぱり、薄々分かってる?)
干し草の屋根よりはビニールシートの方が幾分耐水性がある気がするんだよね、少なくとも僕は……。
モフは干し草にご満悦、屋根に登って大はしゃぎ。モフはベッドもフランスベッドより干し草派みたいだしね。
それから数日経ったある日、僕の予想は的中した。いや、皆、分かってた?
雨風に干し草はあっけなく敗れた。
翌朝、僕らは“それ”を片付けて、それぞれの持ち場についた。
(あ?屋根?勿論ビニールシートでガッチガチにしてやった。)
「なぁ、モフ、今日から戦闘時間を増やそうと思うんだ。」
「・・・・・・」
「モフ?」
(あ、寝てる……。)
だってさ、屋根が直せないとずっとビニールシートな訳だし、妻にも悪いよね。
それからは、二人で必死に戦った。
レベルもかなり上がって来た。
(いよいよか……。)
いつの間にか俺たちは、ダンジョンの最上階まで来ていた。
この先に、ダンジョンの主がいる。……きっと。
つづく。