ヘッジホッグクルー運動会!
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ヘッジホッグ食堂にて――
「クルー全員の運動不足が深刻です。よって、健康維持のため簡単なスポーツ大会を開催します」
「急だな。どこでやるんだ?」
「マリア・クレスト宇宙ステーション内のトレーニング施設をレンタル済みです」
「えー。今日はのんびりお酒を楽しもうと思ってたのに……」
「今日はパワードスーツの外装を格好よく改造する予定が……」
「これは運動が必要だな」
マリア・クレスト宇宙ステーショントレーニング施設――
「それでは皆さん、しっかりと体を動かしましょう」
アイカがきっぱりと宣言する。
「何やるんだ?」
俺が問いかけると、アイカは小さく手を挙げて答える。
「それでは、まず無重力バレーをやりましょうか」
「無重力……バレー?」
マリナが目を細める。
「バレーってさぁ、ボールをコートに落とさないやつだよね?」
「そのとおりです。ただし、ここでは重力がありません」
「たのしそう!」
キョウカが飛び跳ね――そのままフワァっと天井に頭をぶつけた。
「いったぁ!」
「ふははは!よかろう!この叡智を結集し、必殺の無重力殺人サーブを披露してくれる!」
リズが早くもやる気満々でボールを握る。
「やれるのか?運動不足のマッドサイエンティストが」
開始の笛代わりにアイカが「ピッ」と電子音を鳴らす。
リズのサーブが放たれる――
「はあぁっ!」
ブンッ!
ボールは一直線に……天井の換気口へ突っ込み、スポッと埋まった。
「…………」
「…………」
「……あれ?」
リズがきょとんと見上げる。
「試合終了じゃん」
マリナが肩をすくめる。
「いやいやいや!まだ始まってもねぇよ!欠陥だらけじゃねえかこの競技!」
「換気口の奥でボールがゴンゴン鳴ってますね」
アイカが冷静に観察。
「むぅ……!この試合、私の勝ちである!」
「んなわけあるか!」
「体痛い……」
「腕が……」
「早えよ!」
「次は銀河チェスボクシングです」
「つぎはわたし!」
キョウカがジャブ、ストレートと拳を放つたび、空気が震える。
「降参します」
「一発でも貰ったら死んでしまう!」
「勝者、キョウカさん」
「わーい!」
「次は無重力リレーです」
「無重力で走れるのか?」
「泳ぐ感じになるかと」
「とりあえずやってみるか……」
「なんでバトンがレンチになってるの?」
「バトンがなかったもので。代用品です」
「それでは、スタート」
「全然進まないんだけど!」
マリナが必死にもがくが、全然前に進まない。
「よーし、コツがつかめてきた!いくよー!」
マリナがやっと前に進み始める。
「よーし、コウキ、レンチを……って止まらない~!」
「おい、ちょっと待て……っとうわぁ!」
コウキとマリナがぶつかる。ぶつかった衝撃でコウキは飛ばされ、壁にぶつかる。
「……まだ何もしてないのに疲れてきたんだが」
「次、リズ!」
「ふはは!この程度、我が計算能力で楽勝である!」
リズはバタフライのように両手をかき、全力で突進――
「うわあああっ!?止まらぬっ!」
天井に頭から突っ込んでスポーンと換気口にハマる。
「……詰まった」
「お前、さっきから換気口好きだな」
「はい、キョウカさん」
アイカがレンチを手渡す。
「わーい!いっくよー!」
キョウカは犬かきの要領で元気よく進み――
「きゃはは!楽しい~!」
そのまま逆さまになってぐるぐる回転、レンチも一緒に回り出す。
「おい!レンチ落とすなよ!?」
「まわってる~!」
最後はレンチがポーンと飛んで、アイカの手元にピタリと収まる。
「受け取りました。よって、私の勝利です」
「え、勝利!?どういうルール!?」
「もうめちゃくちゃだな……」
「次は惑星相撲です」
「ルールは?」
「この円球の中から出たら負けです」
「では、開始です」
「全員でやるのかよ!」
マリナが先手を取った。
勢いよくリズに向かって突っ込んでいく。
「のわっ!やるではないか!」
「よーし、わたしのターン!」
キョウカが小さな体で体当たり――マリナにぶつかりぐるんと回る。
「わっ、ちょっと待って!重力ないから力加減難しいんだよ!」
「ふはは!このリズ・ベラットに敵うと思うな!」
リズが全力で押し込みにかかるが、逆に勢い余って壁に頭をぶつける。
「……いたっ」
「リズさん、失格です」
「また換気口にぶつかってる……」
アイカは淡々と円球の中心でバランスを保ち、無表情のまま観戦。
「うわぁ!レンチまで巻き込まれたー!」
マリナが手にしていたレンチが空中でぐるぐる回転、みんなにぶつかり笑いが止まらない。
「なんでまだレンチ持ってるんだよ!」
「……疲れるな。これ」
「そのための運動ですので」
「もう限界……動けない……」
マリナが床に倒れ込み、キョウカもふわっと浮かんだまま天井に頭をぶつける。
「ふはは……この叡智も限界……」
リズがレンチを握ったまま力尽きる。
「……皆さん、よく頑張りました。運動不足は多少解消されたでしょう」
アイカが淡々とまとめると、みんな苦笑い。
「ふぅ……次は食堂で甘味だな」
「おにいちゃん、賛成!」
「運動はもうこりごりだよ!」
こうして、ヘッジホッグの艦内は今日も平和に、そして豪快にドタバタしていた。
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