↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気が付いたら異世界で孤児だったけど、立派な宇宙海賊になってみせます~貧民惑星から始める転生成り上がり銀河無双~  作者: 渋谷千立


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
50/73

マリナのグルメ(酒)

評価&応援ありがとうございます!

ヘッジホッグは補給のためマリア・クレスト宙域の辺境にあるステーションに立ち寄っていた。


クルーはそれぞれ自由時間を満喫していた。アイカは補給の監督、キョウカはお昼寝。リズは研究室に引きこもって何かやっている。


マリナはというと……


一人、ステーション内を散策していた。


「さて、今日はどうしようかねぇ。やっぱり酒屋巡り?うーん、服も欲しいけど……やっぱり酒でしょ!よーし、良い店見つけちゃる!」


こうしてマリナの酒巡りの旅は始まった。




ステーション内の市街ブロックは意外と賑わっていた。補給や乗り継ぎで立ち寄る船も多いのだろう。軒を連ねる店の中を、マリナは鼻歌混じりに歩く。


「居酒屋、バー、食堂……ふふっ、選び放題じゃん」


その中で、ひときわ目立たない、けれど渋い雰囲気を漂わせる店を見つける。


【宇宙食堂 しずく】


看板には古い筆文字のような書体で名前が書かれ、扉には手書きで「本日、地球風煮込みあります」と貼られていた。


「……こういうのに限って、当たりだったりするんだよなぁ」


マリナは迷いなく店に入った。


店内は静かで、落ち着いた照明。年季の入ったカウンターに、無口そうな店主が一人。常連らしき客が数名、各々の時間を楽しんでいる。


「いらっしゃい。カウンターどうぞ」


マリナは腰を下ろし、メニューを手に取る。


「へえ、“ハルコ星鮫の味噌煮込み”、なんてあるんだ。しかも“地球風”って……どんな味なんだろ」


店主が笑った。


「うちのは旧暦型。ガス窯でとろとろにしてるよ。味噌はグルード産の発酵菌を使ってる」


「……そそるじゃん。じゃあそれと、小皿に“ノヴァ茸の炙り”、それから酒は……“蒸留ロジウム42”、炭酸で」


「はいよ」


料理が出てくるまでの間、マリナは一人グラスを傾ける。銀色に輝く酒が、炭酸の泡と共に舌をくすぐる。


「っくぅ……たまんないね、これ。まさに宇宙の炭酸爆弾って感じ」


そして出てきたのは、湯気の立ちのぼる“ハルコ星鮫の味噌煮込み”。


とろけるような身に、濃厚な甘辛いタレが絡む。


「……んん、うっま!味噌が効いてるのに臭みゼロ!っていうか、逆に鮫のコクが増してるじゃん!やっば、これは……」


マリナは黙々と食べ始めた。


──何も喋らず、ただ食い、飲み、また食う。


周囲の喧騒は遠のき、時間が止まったかのようなひととき。


(まったく……宇宙は広いけど、腹に染みるのは結局こういう“濃いメシ”なんだよなぁ……)


ふと、隣の席で老人が一人、同じ煮込みを食べているのに気づく。マリナと目が合う。


「……あんたも、星鮫好きかい」


「んー、まあね。肴にもなるし、力も出るし。宇宙で食べるなら、こういうのが一番よ」


「若いのに、いい舌してるな。昔の宇宙軍にも、あんたみたいな娘がいたよ」


「へえ、じゃあ私も見込みあり?」


「あるともさ」


二人は自然とグラスを掲げ、軽く乾杯した。


食後。満足そうに店を出るマリナは、星空を見上げて一言。


「……うん。悪くないね、宇宙のごはんも」


美味い酒と肴。彼女のご機嫌な一日は続く。




マリナの足取りは軽かった。酔いが回っているというより、舌と胃袋が「次の獲物」を求めて騒いでいた。


「よし、もう一軒……いけるね。むしろ、いかないと損」


そんなわけで、彼女が次に目をつけたのは──


【宇宙立呑処 バル・ドリフト】


雑多な店が並ぶ裏通り。光るネオン看板と、店先に並ぶ“おすすめ宇宙酒”の張り紙に惹かれた。


「うわ、いい意味で怪しいなぁ。絶対濃い店じゃん」


中に入ると、そこは立ち飲みスタイルのカウンターバー。様々な種族が気楽にグラスを傾けている。無重力対応の磁気コースターが各所に設置されていて、酒瓶や皿がぷかぷかと浮いていた。


「お姉さん、ひとり? 空いてるとこ、どこでもどうぞ~」


「ありがと。……じゃ、ここで」


壁に貼られたメニューを見ると、どれも知らない酒ばかり。


《マイクロブラックホール蒸留酒・サジタリウス13年》


《惑星蒸留・クリスタライト・ブリュット》


《プラズマ発酵酒・紅イオン》


「はー……名前だけで酔いそう」


そこに声がかかる。


「初めて?だったら、うちの看板メニューいってみる?」


出てきたのは、バーテンダーの女性。片目に義眼レンズ、銀髪に紫のリップというサイバーな風貌。妙に艶っぽい。


「“サジタリウス13年”、炭酸割りで。あと、つまみは?」


「“クオリア海老のチリパウダー焼き”。地球の“えびせん”をリスペクトしてるの」


「それ、ください!」


グラスに注がれた黒曜色の酒。炭酸が弾け、光がチラチラと浮かぶ様は、まるで星雲の中の星屑。


ひと口。


「……くっ、強いけど……芳醇!鼻の奥に残るこの香り、まさに宇宙!」


続いて、クオリア海老。パリパリの食感に、しびれるような辛さと深い甘味が交互に来る。


「なにこれ、やばっ。これはね、酒を呼ぶ。こっちもグイグイ来るやつ!」


立ち飲み席の隣にいた大男が笑った。


「姉さん、飲めるねぇ。どこの船乗り?」


「秘密。でもまあ、宇宙の端っこでドンパチやってるフネのクルーってとこよ」


「へえ、だったらここ来て正解だ。ここの酒は、戦うやつの疲れをほどくためにある」


「……気が合いそうね。よし、じゃあオススメの酒、一本もらおうかな」


静かに、しかし熱く。

酒とつまみを前に、マリナの夜はまだまだ続く。


(……あー、ダメだこれ。つまみが止まんないし、酒がうますぎる!)


そんな中、背後のモニターがふとニュースを映し出す。


《帝国軍、次期宙域掃討作戦を準備中か。前線では艦隊の選定作業が始まった模様――》


マリナはちらりとそれを見るが、気にした様子もなく、もう一杯を頼む。


「明日の戦い?明日の酒の話にしてくれっての……今はこの一杯が正義、でしょ?」


そう言って、再びグラスを傾けた。




「ただいま~」


「おかえり。休みは楽しめたか?」


「最高!いい店見つけてさ。今度コウキもどう?」


「いいぞ。お前の舌は信用できるからな。楽しみだ」


「ふふ~ん、楽しみにしててよね!」


こうしてのんびりと、彼女たちの日常は続いていく――

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!


もし「続きが気になる」「ちょっと面白かったな」と思っていただけたら、

★評価・ブックマーク・感想など、どれかひとつでもいただけると励みになります!


あなたの応援が、物語をもっと広げてくれます!


次回もどうぞ、お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。