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初めての大規模戦(前編)

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「こちらケルベロス・スロット宙域駐留艦隊、提督リサだ。まもなく砲撃を実行する。各位、準備はいいな」


「マリナ、ハイペリオン発艦。ヘッジホッグの横につけ」


「りょうか~い。ハイペリオン、発艦しま~す」


「お前、顔赤くないか?まさか大事な仕事の前に飲んでんじゃないだろうな?」


「うわっ、ばれた。ちょっとだけだよ。でもこれくらいなら全然大丈夫。調子いいんだ、ホント」


「壊したらお前の取り分から差っ引くからな、ちゃんと気をつけろよ」


「えー、それだけは勘弁してよ。艦長、頼むよ~」


「仕方ねぇな、今回は大目に見てやる。今回だけだからな」




「よし。こちらヘッジホッグ、準備完了」


「準備完了」


「こちらもだ」


次々と準備完了の通信が入ってくる。


「よし。全機の準備完了を確認した。これより砲撃を開始する」


「帝国軍、レーザー砲撃開始!銀河の果てまで光を刻み込め!」


艦隊の主砲群が一斉に唸りを上げ、閃光の束が虚空を裂いた。


鋭い青白い光線が敵拠点へと一直線に伸び、その熱量とエネルギーが冷たい宇宙を焦がす。


轟音ではなく、鋭く鋭敏な振動が艦内に伝わる。まるで宇宙が一瞬息を呑んだかのようだった。


「敵主力に大きな損害を確認。残党が続々と出てくる!」


敵拠点から無数の艦影が湧き出るように現れた。よし、俺たちの出番だ。


「アイカ、脳波コントロールシステム作動。準備しろ」


「了解。脳波コントロールシステム作動。操縦権を艦長に移譲」


視界が広がる。艦のすべてが俺の頭の中に入ってくる。


「つっ」


「どうかしましたか、艦長」


「ちょっと頭痛がしただけだ。問題ない」


「艦が大型化したことで脳の処理が追いついていないのでしょう。無理をなさらず」


「大丈夫だ。アイカ、攻撃開始!」


「了解。主砲レーザー、発射準備完了。ミサイルターレットも全開放。撃ちます」


鋭い青白い光線が敵艦を次々と焼き尽くし、運よく回避した敵も追尾ミサイルの餌食となる。


「ハイペリオン、前に出ろ!マリナ、出番だ!」


「りょ〜かい!まかせて!」


ハイペリオンが敵艦に突進。敵の攻撃を巧みにかわしながら、すれ違いざまにレールキャノンを叩き込んでいく。


こんな時、マリナの腕前が本物だと改めて思い知らされる。




敵拠点からはまだ無数の艦が飛び出してくる。光の筋が空間を切り裂き、無秩序な軌道で散開する。


「敵、接近中。艦種混在──民間船改造型、小型強襲艇、中型砲艦確認。数、およそ三十!」


「……よし。これより交戦開始。アイカ、主砲レーザー、全門開放」


「了解。主砲ユニット、充電率96%、臨界到達まで3秒……2、1──撃ちます」


白熱する光柱が、空間を抉るように直進し、先頭の中型砲艦を真正面から貫いた。防御フィールドを突き破ったレーザーが艦体を粉砕、爆炎が宙域に拡散する。


「命中確認。1番艦撃沈。次、2、3、4番艦──ミサイルシークロック、カウント開始」


「補助兵装、全自動照準開放。アイカ、ミサイル防衛も頼む」


「迎撃システム、起動。対艦ミサイル、全門発射」


無数のミサイルがヘッジホッグから放たれ、四方に拡散していく。赤い光をまとい、敵艦を一機一機ロックオン。その追尾軌道は、まるで蛇の群れのようにうねる。


「敵艦、回避行動──しかし遅い!」


ミサイル群が爆発を巻き起こす。三体の小型艦が吹き飛び、もう一体は翼をもがれスピンしながら制御不能に。


「マリナ、ハイペリオン、前へ!敵の中央ラインを突っ切れ!」


「りょーかいっ!任せといてっ!」


ハイペリオンが加速。機体下部の姿勢制御ノズルが噴射を繰り返し、異様な機動で敵陣へ突っ込んでいく。


「こっちはこっちでやるよっ!」


敵の照準ビームが何本も飛び交う中、マリナは身をくねらせるように回避。シールドをギリギリでかすめるレーザーが装甲に焦げ跡を残す。


「ハイペリオン、レールキャノンチャージ、発射!」


超高密度の弾丸が敵艦に直撃。中央ブロックを貫通、内部から爆裂し、艦はくの字に折れ曲がって炎上。マリナが再び加速して離脱した直後、その艦が破片の雨になった。


「はぁ~、気持ちいぃ~!これだよこれっ!」


「喜んでる場合か、マリナ!数が減らねぇぞ!」


「おっけーおっけー、まだ弾はあるからね!」


その間にも、敵の小型艦が左右から包囲するように接近。


「アイカ、ドローン隊、出せ!360度防衛網構築!」


「はい。攻撃型ドローン、全ユニット展開」


ヘッジホッグの側面ハッチが開き、20機以上のドローンが飛び立つ。各々がレーザーガンとEMP弾頭を搭載し、群れをなして敵艦へと向かう。


光と音の洪水。ドローンたちの集中砲火が敵の機関部を狙い撃ち、次々と機能停止に追い込んでいく。


「EMP直撃、敵艦システムダウン確認。次、左舷艦へ展開します」


「艦長、前方に大型艦を確認。主力かと思われます」


「座標ロック、距離は?」


「4万キロ、接近中。エネルギー反応大──主砲チャージの兆候あり」


「先に撃たせるな。アイカ、主砲全門、リミッター解除!」


「了解、最大出力レーザー、照準ロック完了──撃ちます!」


撃ち出されたレーザーが宙域を引き裂き、巨大艦の砲塔部を直撃。次の瞬間、内部で連鎖爆発が発生し──


敵の主力艦が、光の泡に包まれるように崩れ落ちた。


「旗艦沈黙ッ!敵の陣形が崩れ始めてる!」


「──よし、今だ!全艦、突撃!」


ヘッジホッグが先陣を切り、残存する帝国艦・傭兵艦が続く。


この時、銀河の一点に、まさに“光と音の嵐”が巻き起こっていた。




「──これで、この辺りは片付いたか」


「はい。敵艦、レーダー反応なし。指定宙域の敵艦、全滅を確認しました」


「よし。マリナ、いったん戻って補給。再発進の準備もしとけ。アイカ、残弾とエネルギーチェック」


「了解。……残弾43%、エネルギー残量60%。戦闘継続は可能です」


「ハイペリオン、着艦完了。今から燃料と弾薬、補充するね~」


モニターに映るマリナの顔は、どこか満足げだった。派手に暴れた後だというのに、まだ余裕がある。


……まだまだ戦えそうだ。──戦いは、終わっていない。


「よし、これから味方の援護に向かうぞ」


味方の宙域に到着した瞬間、通信が飛び込んでくる。戦闘は、まだ激しさを保ったままだ。


「こちらヘッジホッグ。これより援護に入る」


「助かる! 生きのいいのが一機、暴れ回ってるんだ。そいつを任せてもいいか?」


「了解した。そいつは俺たちが仕留める。任せとけ」


「聞いたか、マリナ? ぶちかましてやれ」


「りょ~かい! さっきのぶん、もう一発いっちゃうよ!」


「ハイペリオン、補給完了。いってきま~す!」


ハッチが開き、ハイペリオンが加速して飛び出す。

火線の海に突っ込んでいくその機影は、まるで獣のようにしなやかだった。


「アイカ、マリナのサポートを頼む。他の艦、近づけるな」


「了解。全周レーダー展開、敵接近予測ルート制御完了。──虫一匹、近づかせません」


──さあ、次は第二ラウンドだ。

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