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銀河の片隅で小さな幸せを

必殺の2話投稿。次は19時です。


評価&応援ありがとうございます!

「ちょっと疲れたな、休憩にしよう」


「賛成~。足が棒だよ」


「……おなか、ぺこぺこ」


「キョウカさんがおなかを空かせています。至急食事の用意を」


「なんか過保護になってないか?アイカのやつ」


「キョウカちゃん可愛いもんね。しょうがない」


「さて、どこか飯食べれるところはっと」


「ここ!ここにしよう!」


そういってマリナが指さすのは居酒屋。昼間から営業している飲兵衛御用達の店だ。


「やめとけ。ろくな未来が見えん」


「ここ……くさい」


「キョウカさんの体に悪いです。却下します」


「なんだよ!ちくしょ~……」


「ここでいいだろ」


そういって俺は銀河チェーン店の看板を指さすのだった。




「いらっしゃいませ~! 何名様でしょう?」


「4人でお願いします」


「あちらの席にどうぞ~」


そういって案内された席に座る。


「何食べよっかな~」


「ごはん……いっぱい!」


「キョウカさんには、お子様ランチが栄養バランス的にも最適です」


そうして頼んだのは、俺がハンバーグ定食、マリナがパンケーキセットにワイン、キョウカはお子様ランチ。そして……


「お前、飯食えるのか?」


アイカがカレーライスを頼んでいた。


「可能です。私は摂取した食物を、100%効率的にエネルギーへ変換できます」


「なお、カレーは“おいしい”とされていますので」


「おまちどおさまです~、ハンバーグ定食に、パンケーキセット、お子様ランチ、カレーライスです」


「ありがとうございます。キョウカさん、ごはんが来ました」


「おいしそ~!」


「は~、ワイン美味い」


「結局飲むのかよ……」


「……味、把握しました。スパイスバランス、良好です」


「……なんか、普通に食レポしてるな」


「おにいちゃん、これなに?」


キョウカが、キラキラした目でおまけのおもちゃを見つめている。


「これは……ヨーヨーか」


「どうやってあそぶの?」


「これはな、指にこのひもを引っかけて、こうやって下に下ろすと……」


コウキが手本を見せると、ヨーヨーはするすると伸びて、下でくるくると回り続ける。


「すごい!まわってる!わたしもやりたい!」


キョウカが大はしゃぎだ。


「じゃあ貸してみ。ほら、ここに指を通して……そう、それで軽くふわっと下に──」


ビュン!


ヨーヨーは回ることなく、派手な音を立てて床に落ちた。


「あれぇ……?」


「ははっ、力入れすぎ。もっとこう、優しくな」


「がんばる……!」


横で見ていたマリナが、くすっと笑った。


「いいねぇ。こういうの、なんか“子供”って感じで」


「お前が言うなよ。誰よりもはしゃいでたじゃねぇか、酒屋で」


「それとこれとは別~!」



キョウカは何度も何度も挑戦していた。


「えいっ!」


ストン。


「うー……もういっかい!」


彼女は真剣な表情で、ヨーヨーを見つめ、ぎゅっと小さな拳を握る。


「そうそう、その調子だ。少しずつコツがわかってくるからな」


「がんばる!」


その姿に、マリナが顔をほころばせる。


「ねぇ……あれ、可愛すぎない?」


「そりゃあ、初めての遊びに全力で挑んでるからな。見てて飽きないわけだ」


すると、すっと横から静かな声が割り込んできた。


「解析完了。ヨーヨーの構造と運動力学、再現可能です」


「……再現?」


「はい。空間制御アームを利用して、最適回転数・最適上下タイミングを自動演算しました」


そう言って、アイカの手元に浮かび上がった簡易モニターには、スロー再生されたヨーヨーの軌道解析と、3Dモデルのシミュレーション。


「いやいやいや、そこまでやらんでいいだろ……!」


「キョウカさん、こちらの映像をご覧ください。ここでリリースタイミングを0.4秒遅らせると、回転持続時間が1.6倍に」


「わかった!がんばる!」


「おお、覚えが早ぇ!」


「AI+子ども=天才の誕生では?」


マリナが半分本気で呟いたその瞬間──


キョウカのヨーヨーが、今度は見事に回りきった。


「できた!できたよ、おにいちゃん!」


くるくると回るヨーヨーを見て、キョウカが両手を上げて小さく飛び跳ねる。


「おぉ、やったな!でもお店の中だからはしゃぐのはやめような」


「はーい!」


「解析の勝利です」


「いや、それ“努力の勝利”でしょ、普通」


「食後のデザートです」


「わーい!アイス!」



キョウカがデザートのアイスまでしっかりと食べ終え、店を出る。


「次はどうするんだ?」


俺がそう尋ねると、キョウカは少しだけ首をかしげてから──


「おかいもの、もっとしたい!」


と、にっこり笑った。


「お洋服まだ見たいの? それともオモチャ?」


「ぜんぶ!」


「ぜんぶ、か……ま、今日は休暇って決めたしな」


マリナも頷く。


「こういう時間も大事だよ。ね、艦長?」


「否定はしない。財布の中身さえ見なければな」


「そのへんは気にしな~い! 今日だけは! アイカ、戦利品運搬準備お願いね~!」


「了解。ドローン部隊、回収ルート確保中です」


「“部隊”……?」


「必要です。あの量では一機では搬送しきれません」


「わたし、ぬいぐるみ、ほしい」


「はい、ぬいぐるみ売場、座標マークしました。誘導ルート表示中」


「なんかかっこいい!」


アイカのAR誘導に従って、キョウカは小走りで先を行く。


その背中を見つめながら、俺はぽつりと呟く。


「……まぁ、こういうのも悪くないな」


銀河の辺境、ボロいステーションの一角。

けれどそこには、確かにあった。


笑って、食べて、遊ぶだけの、平和な時間が。


──これがずっと続くなんて、思っちゃいない。

だが、今だけは。


「よし、次行くか」


俺たちは、まだ終わらない“お買い物冒険”の続きを踏み出した。

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!


もし「続きが気になる」「ちょっと面白かったな」と思っていただけたら、

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あなたの応援が、物語をもっと広げてくれます!


次回もどうぞ、お楽しみに!

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