表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
BEAUTIES(ビューティーズ)“自分史上最高の顔”写ってはいけない自撮りアプリ  作者: 渡辺河童


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/13

13-最終章・拡散する美への追究

 国境を越えた、夜の都市。

ネオンがちらつき、異国の看板が浮かぶ。人々はスマホを片手に交差点を渡り、笑い、写真を撮る。

ここは、真帆も悠真も名前しか知らない国、知らない都市。


ビルの六階にあるシェアアパートの一室で、一人の若い女性が鏡を見つめていた。


彼女の名はエミリア。

留学生で、語学学校に通いながらモデルの仕事を夢見ている。


細い指先が、スマートフォンの画面を撫でた。

アプリストアには、見覚えのないツールがあった。


「BEAUTIES……? 何これ、初めて見る名前」


説明文は英語でこう書かれていた。


”このアプリはあなたを美しく変貌させます。

これは運命の姿を映す鏡です。”


「運命の姿を映す鏡……ふうん、ちょっと大げさだけど」


興味本位で、彼女はそれをインストールした。

カメラが起動し、静かな起動音が流れる。


画面に映った自分の顔は、普段と少し違っていた。

頬が高く、鼻筋が細く、目の奥に光がある。

不自然ではない。むしろ、完璧すぎるほどに自然。


「……キレイ。これ、本当に、私?」


自分でも知らなかった自分。

なりたかったのに、届かなかった理想。

その“答え”が、今この鏡の中にある気がした。


画面の下に、一行のテキストが現れた。


“あなたの顔を記録しました。

次回から、より理想的な姿を提示します。”


そして、鏡の中の“彼女”が――ほんの一瞬だけ、瞬きをしなかった。


    *


同じ頃、どこか別の国の、別の言語で、

またひとつ、“BEAUTIES”というアプリが静かにインストールされていた。


誰が作ったのか、誰が動かしているのか、今はもう誰も知らない。


ただそれは、人の願いに潜り込み、

その“理想”を鏡の中から見つめ続けている。


誰かが、自分を嫌いになった瞬間。

誰かが、もっと綺麗になりたいと願ったそのとき。


それは、目を覚ます。


再び、誰かの顔を奪うために。


BEAUTIES

――あなたの理想、その奥に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ