届かぬ恋の手
[コレは恋か?]
きっとコレは、恋のはず。
キラリと光るその瞳に、正義しか映さないその瞳。
正義の象徴として、生きた男。
全ての期待を背負った“勇者”
桜が一枚宙に舞う。
されど目に映るのは死んだ兵士の抜け殻だけ。今もなり続ける人の叫び声。
刀身が交わる音、弾丸が空気を裂く音。
赤い装飾のついた建物が、ボロボロに剥げている。
乾いた地面に足をつく。
決して届かない貴方に恋をする。
伸ばした手はものを掴めず空を切る。
ー
恋の暦は進まずに、世界の暦は進んでく。
風の噂で聞いた話。
“勇者が命を落としたって”
風の噂で聞いた話。
“遂に鬼市に平和がきたって”
ー
私は旅に出た。
勇者の軌跡を辿るため。
本当の恋を探すため。
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