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黒い月

作者: 沙月Q

 正体不明の物体が地球に接近してきた。

 世界中の天文台がその存在を確認した。


 それは巨大で真っ黒な球体だった。

 一時は衝突が危ぶまれたが、球体は地球の静止軌道に達するとそのまま第二の月のように地球の周りをめぐり始めた。

 ほどなく、球体の中を発信源とする強力な電波が世界中で受信された。

 驚くべきことに、それは地球で使われている55種類の言語による通信だった。

 通信内容は、異星文明からのメッセージ。

 彼らは外宇宙へ飛び出した地球の探査機ボイジャー2号と接触し、地球の存在を知ったのだった(55種類の言語はボイジャーに搭載されたゴールデンレコードに収録されたものだった)。

 そしてボイジャーを徹底的に分析し、地球人がエネルギーとして石油に依存している事実を突き止めた。

 黒い球体は、挨拶代わりに彼らが地球へ贈ったプレゼント…向こう数千年分の石油だったのだ。

 だが、人類はそれを回収する術を持っていなかった。

 おまけに、ギスギスしていた国際関係がこの石油をめぐってさらに険悪化し、各地で紛争が勃発、石油の消費に拍車をかける結果となった。


 人々は今日も、自らの幸運と愚かさにイライラしながら黒い月を見上げていた。


今日10月6日は #石油の日 ということで、石油がらみのSFショートショートとして公開しました。

noteで「イライラする挨拶がわり」というお題で書いた作品の転載です。

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