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第5話 いざ、登録

「いやいやいや、何してるんですか!」

「すまん、こいつが急に殴りかかってきたんだ」

 


 足元で白目を剥いて倒れてる男を指さしながら弁解する。

 無視しただけで殴ってくるのだからしょうがないだろう。というか、そもそも先に絡まれたのはこっちだし謝る必要なかったか?



「おい、なんかすごい音がしたのだが。何かあったのか?」



 いろいろ理屈を並べて批判を避けようとしてると、階段の方から声がする。見ると、額から目の下までに大きな傷跡を持つ大柄な男が降りてきた。


 見た目は完全にヤクザだが、服装が受付のお姉さんと同じタイプのものだ。

 なんならそれより少し豪華なので上司的な人だろう。



「あ"、ギルマス……これは、その」



 受付さんがすごい声出してる。

 なるほど。この人はギルマス、いわゆるギルドマスターか。

 上司というか社長だった。



「あんた、新人か? こんな辺鄙な街で冒険者を始めるとは、物好きだな。今どきの若いもんはみんな王都でやるんだがな」



 ギルマスは受付さんが持ってる水晶玉をチラ見し、私に向かってそう言う。

 ここで冒険者になるやつは少ないのか。

 受付さんがすごい助けを求めた目線を送ってくる。

 


「アング……あー、あんたの下で気絶してる奴はどうした」

「私が冒険者登録をしようとしたら絡んできたんだ。殴られそうだったから反撃しただけだ」

 


 ギルマスは未だ足元で気絶中のアングと呼ばれた男を指さし尋ねてきたので簡潔に伝えておく。

 別に間違ったことは言ってないからヨシ。



「はぁ、またルーキー狩りしてんのか? 次やったら処罰すると言ったのだが……迷惑かけた。あんた、まだ冒険者登録はし終わってないんだろ? ラミーネ、続きを頼む」

「あ、はい!」

 


 ギルマスは男を担ぎ、ギルドを出ていく。それに伴って取り巻きたちもギルドを離れていった。

 結構な重量があると思うが、軽々しく持ち上げている。かなり筋力があるな。



「……えーと、それじゃあ測定をしましょうか。先程と同じように水晶玉に手を乗せてください」



 受付さんの指示に従って進めていく。

 水晶玉に手を乗せてみたが、やはり一回目と変わらず何も反応しない。



「うーん、反応しませんね……。二個目も壊れてるなんてあんまりないと思うので、恐らくカンナさんはかなり魔力が少ないんでしょう。まれにそういった方もいると聞きます」

「魔力を持ってない可能性はないのか?」

「ないと思いますよ? 名前は忘れちゃったんですけど、どこかの有名な賢者様が生き物なら必ず魔力を持つと言ってましたから」



 なるほど。この世界の生き物が持つとしたら、異世界人である私は魔力がない可能性はあるな。

 それにしても賢者か。魔法関係のエキスパート的な立場か?



「とりあえず、最初のランクは規定どおりFランクから始めていきましょう。冒険者についての説明はご必要ですか?」

「頼む」



 事前情報としてレナトスで他の冒険者から話は聞いているが、公式からの言葉が一番信頼出来る。



「冒険者は主に、依頼と呼ばれるものをこなします。種類はさまざまで、魔物の討伐や薬草の採取、商人の護衛と数多くあります。依頼を受けるには、ギルド内部でクエストボードという場所に依頼の用紙が貼られ、それを受付に持ってくることで受注したことになります」



 入口すぐに開けたスペースがあり、そこの壁に紙が貼り付けられてる様子を見るにあれがクエストボードだろう。

 あそこから紙を引っ張り受付に出す流れだ。

 楽な依頼は直ぐに無くなるだろうから争奪戦になるな。



「依頼にはそれぞれランクが決められており、冒険者にも同じようにランクがあります。パーティーを組んだ場合を除き、基本的には自身の冒険者ランクより依頼のランクの方が高かった場合は受注できません。また、受注した依頼に連続で失敗しますとランクが降格などといったペナルティがあります」



 依頼にはだいたい期限があり、それを超えると失敗したことになるみたいだ。

 とりあえず受注するだけしておくというやり方はやめた方がいいだろう。



「冒険者ランクについては、基本的にF、E、D、C、B、A、Sの順に上がっていき、CからAにはマイナスとプラスを付けた三段階になります。全部で十三段階ですね。カンナさんは最初のFランクからになります」



 そう言われると何やら薄い銅板を渡される。どうやらこれがギルドカードらしい。

 ギルドカードは厚さ二ミリ程度の銅板で、見た目はICカードやクレジットカードに近い。登録する時に書いてもらった名前と年齢が載ってある。

 街を出入りする時はこれを門番に見せればいいのだろう。



「魔物にもランクが分けられてます。冒険者ランクと同じようにFから始まりますが、Eから上は全てプラスとマイナスが付きます。そしてSよりさらに上に災害級、災厄級、天災級があります。まぁここら辺は話題に上がることは滅多にないのですが」

「なるほど。ちなみにさっき突っかかってきた男はどのランクなのだ?」

「アングさんでしょうか。あの方はCランクです」



 Cは冒険者で一人前といえるランクらしい。

 そうなるとあれくらいが冒険者の平均なのだろう。

 ならば目指すのはとりあえずC辺りだな。変に一般からはみ出すのは良くない。Sランクに関しては人外の域らしいのであまり考えないでおこう。



「その他として、これはアドバイスというか忠告というか、魔物の中にはネームドと呼ばれる強力な個体がいます。それらは従来の魔物よりも非常に強いため戦うことはお勧めしません」

「ネームドか。忠告ありがとう」



 それでは記念すべき最初の依頼を受けよう。

 まあランクがFなので大したものは選べないが、やはり最初はこれだ。


『薬草採取』

 近隣の森に生えてる薬草を10本採取する依頼だ。

 最低10本というだけでいくらでも買い取ってくれるらしいからいっぱい集めてこよう。

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