大宇宙寿司大戦コスモス
宇宙世紀4XXX年 地球人類は宇宙の果てへ到達していた
寿命と病という言葉は死語となり、科学は見果てぬ夢を現実へと変えるに至った
が、それには負の側面もあった
3XXX年にとある天才科学者が大きな事故を起こした
事故を起こしたのは彗星型巨大エネルギージェネレーター『コスモス』
それは4XXXになった今でも宇宙中にその爪痕を遺している
『軍艦UNIONの全パイロットに告ぐ、惑星ガリンジャー付近に高エネルギー反応あり
出撃可能な者は40秒で支度しな!』
折角の休日だからと自室で古文書を紐解こうと思っていた矢先、『40秒』の部分に力の入ったアナウンスが響いた
「またか……残念だな」
古文書を閉じ、制服に着替えて出ていく
愛機の中に入ると直ぐに叱責が飛んできた
『シモン君、遅い!』
「まったく、休日出勤のパイロットに何て言い草だ」
『最速の称号持ちの自分の実力を呪って頂戴!それと今日の相手は手強そうだから、気を付けて!』
オペレーターのユイと会話をしながら愛機を優しく起こす。モニターが真っ白な格納庫内部の映像を映し出す
「承知。情報は?」
『ソナー情報からの予測だけど、大型Abが1、κが10くらいで編隊を組んでる』
エンジンが唸りをあげる。愛機の燃料の香りは何時だって心が躍る。
「そりゃ良い、編隊を全部接収出来れば当分楽が出来そうだ」
『大型の方もお願いね』
「うーん……嫌いなんだよな、Abは剥くのが面倒でね」
『好みは聞いてません、行ってらっしゃい!』
「承知
ANA=5シモン、出る!」
『ラッシャイ!』
最速の愛機、ANA=5が軍艦UNIONのシャリから飛び出していった
彗星型巨大エネルギージェネレーター『コスモス』が遺した爪痕
それは、エネルギーを固定化するというものだった。そして、その形は何故か決まって寿司の形だった
今、宇宙を寿司が泳ぎ回っている
「先ずはκから片付けようか!」
アナゴが加速し、河童巻きの群れをロックオン
「発射!」
秘伝のタレが命中、河童巻きが甘辛くなる
「次、Ab!」
κは単調な動きだが、Abはそうもいかない。κがやられた事でピチピチ跳ねる様な不規則な動きをし始める
「確かにこの動きは厄介だ
が、お前には明確な弱点がある!」
真正面に来た瞬間にタレを打ち込む。背後に下がって回避したが、ANA=5はその動きを追い越し回り込む!
「エビは正面からの攻撃に対して後ろに下がる!」
琥珀色のタレがエビを捕えた。
この企画の元ネタのなろうラジオを聞いていた時、なぜか『コスモス』を『コスモ酢』と誤変換したのが始まりでした。
誤りでした。
ただ、宇宙空間を寿司が飛んでる様は見ていて美味しそうだなぁ、とは今も思っています。