15話――Search and strike and destroy④
カーリーのセリフを聞いて、私はユウちゃんの方を見る。ただまぁ、彼女が珍しい存在というのは分かるけどね。
「……まぁでも、確かに二級、一級ってユウちゃんと同じかそれ以上に強いんだものね。冷静に考えれば、そんなに数がいないって分かるか」
「そんなに、じゃありませんよ。ほぼいないですよ。というかユウさんって……素の実力で一級な上に、超級のダンジョン武器を装備していますからね。今や超級並みの実力といっても過言じゃありません。そんな彼女よりも強い騎士なんてそういませんよ」
「超級は、さすがに過言かな。でも僕よりも強い騎士となると探すのは少し難しいと思うよ。少なくとも、僕は女神に出会うまで見たことは無かったかな」
苦笑して『超級』の部分だけ否定するユウちゃん。なるほど、ただその理屈だけど私は超級になるんじゃないかしら。
なんて新しい疑問に首を捻っていると、ベッドメイクやお掃除などしてくれていたマリンがこちらへやってくる。
「いやマジで姐さん、ユウさんはヤバいっすよ? ユウさんを級の指標にするのは絶対無理ッス。ランク詐欺ッスよ詐欺」
「詐欺は酷いな。確かに意図的に級が上がらないようにはしていたけれど、詐欺を働いた覚えは無いよ。ちゃんとギルドにも認められた級さ」
ウインクと共に笑顔を見せるユウちゃん。彼女は鞄のところへ行くと、冒険者ギルドの手帳を私に見せてきた。真新しいそれには、ちゃんと『二級』と書かれている。
「なんでランク詐欺してるの?」
「め、女神まで言うのかい? ……別に詐欺しているわけじゃないよ。ただ困っている人が依頼出来るラインっていうのが、三級くらいまでなんだよ。お金が欲しいわけじゃないからね、僕は極力ランクを上げないようにしていたんだ」
「それならなんで二級になったんスか?」
「昔、世話になっていた貴族の女性がいてね。彼女に『働きには適正な報酬が無いとダメよ。その指標なんだから、あまりかけ離れすぎるのは良くないわ』と、無理矢理昇級させられてね」
その女性とは、気が合いそう。
私は立ち上がって鏡へ向かう。これから夜会――そろそろお化粧しないとね。
「だから一級相当の実力があっても、二級までで止めていたのね」
「決して詐欺では無いよ。そもそも級を聞いて相手を侮る程度の相手に、僕が後れを取るはずが無いからね」
自信満々なセリフ、さすがユウちゃん。
カーリーとユウちゃんがお化粧セットを持ってきてくれたので、私は髪をくくる。
「さて、それじゃあ準備といきますか」
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