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14話――王都よりも遠い場所⑥

「お頭! なんか向こうから変なモンが来てます!」


「ああ?」


 見張りをしていた仲間の一人が伝令に来る。言われた方を見ると……普通の三倍くらい大きい馬車がこちらへ走って来ていた。


「し、しかも凄いスピードでこっちに来てるんすよボス。どうしますか?」


「冒険者か何かだろ、馬車一台程度の人数でオレらをどうにか出来るわけねぇ。かかってきたらテキトーに相手をして……あ、いや待て」


 そう部下に言ったあとで、もう一度言われた方を見る。たしかに馬車が凄いスピードで来ているが……その天井部分にはアザレアの花があしらわれている。

 花の紋様をあしらっていいのは、貴族のみ。つまりあの馬車は貴族が乗っているということで――


「ははっ! 英雄気取りのバカ貴族様のおでましか!」


 中身が男でも女でも、裏で売れる。普通の貴族なら馬車を五台、護衛を三十人くらい付けても不思議じゃないというのに、たった一台の馬車で移動するとは。バカなんてレベルじゃない。

 まして、こうして突っ込んでくるということは……ドルク達の所業を見て怒ったからに違いない。

 許せないと思うのは結構だが、貴族の権威が通用しないということは覚えておくべきだっただろう。


「バカから食い物にされるんだ! おらテメェら、きばれよ! 貴族を売り飛ばせれば、五年は遊んで暮らせるぜ!」


 右手をあげて、いつも通りの合図を出す。ドルクは元第一騎士団の団員。それも分隊長にまでなった実力を持つ。兵の指揮はお手の物。彼が一級賞金首になれたのも、この統率力や指揮力に依る物は大きい。

 陣形が完成するとほぼ同時に、馬車が村の入口付近で止まる。そして中から現れたのは、華奢な女だった。

 人形と見紛うほどの美女。スタイルは抜群で、気の強そうな顔が逆にドルクの嗜虐心を煽る。

 女は馬車を降りると――ドルクたちに向けて、挑発的な笑みを浮かべた。


「あんた達には二つの選択肢があるわ。武装解除して自分で穴を掘ってその中に埋まるか、私達にボコボコにされて埋められるか。好きな方を選んでいいわよ」


 大層自信があるようだ。ドルクはニヤつく笑いを抑えることなく、そして問答に付き合うことも無く――部下に指示を出した。


「やれ」


 音もなく馬車を囲むように飛び出してくる部下達。剣を振り上げ、まずは馬を狙う。

 足を潰して逃げられなくしてやる――しかし美女は一切動揺すること無く、ため息をついた。


「降参ならいつでも受け付けるわ。――ユウちゃん」


 その瞬間、地面から大量の土が盛り上がって部下達を真上に弾き飛ばす。馬にでもぶつかられたかのうよな勢いで吹っ飛んだ部下達は、目を回して地面に落ちてくる。


「なっ……!」


 驚くドルクの前に出てくるのは、剣を持った執事服の男。呆れたような表情で、美女の後ろに立つ。


「女神、危ないから前に出ないように言っただろう? 敵がもし『組織』だったらどうするんだい?」


「なら数が減らせてちょうどいいじゃない」

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