14話――王都よりも遠い場所③
「共倒れは絶対に出来ない。向こうだって、どこかで折れないといけない。でもその妥協点を、お互いの真ん中に出来るか……それとも向こうにだいぶ寄った妥協点になるのか。その争いすら出来ないのよ今のままじゃ」
うちがノーと言い続ければ、向こうが折れないといけない。なにせこっちは権全部握っているのだ。
でもそれなら、準備してから出て行けばいいだけの話。出て行った後にマータイサが無くなろうが知ったこっちゃない。
「向こうにとっては、『今』マータイサが無くなれば困るけれど、『後で』マータイサが無くなっても困りはしないの。金を持ってる、力を持ってるってのはそういうことよ」
私たちが娼館について新しく領法を作るってことは……既に情報として出ているだろう。故に、金融関係については電撃的に行わなければならない。
そして向こうが力業に出た時に、その力を押し返せねばならない。
「カムカム商会の金じゃダメなんすか?」
「だって裏は今洗浄してる最中だもの。クリーンにしてしまえば、カムカム商会は少し大きいだけの中堅商会よ」
蓄えていた資金だって、『組織』への献金で殆ど無かった。会計上は儲かっていたけれど、内部留保はほぼゼロ。
「延命にはなったし、これからも儲けさせてもらうわ。金融で領地内のお金はコントロールしたうえで、我々の資産を増やす。それと同時に、外貨を稼ぐ手段を作る」
「……話が戻ったけど、それでどうするつもりなんだい?」
「――ここでオリチャー発動。原作知識の活用と、現代日本チートよ」
「え、マヨネーズでも作ります?」
「もうあるじゃない」
大量生産は難しいけれど、作ること自体は難しくない。お酢と卵と油があれば作れるんだし、そんな珍しいものでもない。
そうでなく、マングーでは採れる物を使って加工しようかなと思ってるのよね。
「原作知識だけど、レイラちゃん覚えてる?」
「マングーって言ったら、梅の花が……ああ、梅干しでも作るんですか?」
「ピンポーン」
こっちの世界じゃ、なぜか梅を食べない。食べられる魔物とかがいて、肉食文化が根付いてるからだろうけれど、日本に比べると肉以外の食べ方がかなり限られているのよね。
「人気出ます?」
「はちみつ漬けも作れるし、何より保存食は必ず需要があるからね。マングーの梅を全部買い取って、うちの主要事業にするわよ」
「そんなに上手くいくかな。供給するためには、人手が要るよ」
まぁ上手くいくかと言われたら、五分な気はする。でも、今のままじゃどのみち土俵に立てない。
「そういうわけで、ビジネスの話をするつもりだからよろしくね」
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