14話――王都よりも遠い場所①
「というわけで! 来たわよ、マングー!」
「女神、危ないから顔を出さないで」
というわけで、私達は五人でマングーという領地に来ていた。
今回、私のことを呼んだ貴族はレギオンホース伯爵家の前当主、ガーワン・レギオンホース。
名義上の当主は息子のガーツーになっているものの、未だに実権を握っている敏腕領主だ。
「マータイサの特産品であるロッコリーの輸出先として最も大手の領地です。その他、向こうから鉱石……特に石炭なんかを輸入しています。関係性を築いておいて損はありませんね」
カーリーの言う通り、マングーはうちの特産品を大量に輸入してくれているお得意様。そこの領主であり、自身も輸入系の商会を扱っているガーワン。
それだけでなく、アザレア家が子爵なのに対してレギオンホース家は伯爵家。家の格という意味でも、仲良くしていることに越したことは無いわね。
「ただ……女神、気を付けなよ? ガーワンは十三人の妻を娶った性豪としても有名だ。本人の顔が良くて羽振りが良いから問題になっていないだけで、悪い噂は多い」
「あー……女絡みのシノギはマングーでやるなってのは有名な話ッスね。あのおっさん……いやもう爺さんなんですっけ? 裏でも有名な女好きッスから」
ガーワンは……というかレギオンホース家は代々、有名な女好き。ガーワンのみならず、息子のガーツーも、なんなら孫でありガーツーの正妻の実子であるガースリーまで大概な女好きとのうわさだ。
特にガースリーは現在、私と同い年の十六歳。来年――十七歳から、この世界では大学に当たる高等学園への入学が決まっている。
そこで何人喰うかで、レギオンホース家の今後を占うらしく……なんというか、かなり馬鹿げた話だ。
「まぁ、イザベルさんは大丈夫なんじゃないですか? 性的嗜好、女性ですよね?」
レイラちゃんが今日も何の躊躇もなくぶっこんでくる。ちなみに彼女、ずっと馬車の中で本を読んでいたので……今のが、旅に出て初の発言だ。
この子、初セリフがそれでいいのかしら。
「別に男女関係ないわ。私は可愛い子が好きなだけ。イケメンだって、嫌いじゃないのよ?」
そう言ってユウちゃんの手を引いて、彼女の顔を眺める。今日の彼女はいつもと違い、胸元が開いていないちゃんとした執事服。さらしで胸を潰してるし、足も滅茶苦茶長い。最高に目の保養。
うん、こういうイケメンなら目の保養になるんだけどね……。
「男のイケメンはちょっとねぇ」
「え、じゃあオレって姐さん的には微妙なんすか?」
「あんたは可愛い枠でしょ」
「オレは男ッスよ!?」
ちなみにマリンの今日の格好は、他の貴族と会うということで……クラシカルメイドになっている。一応、ボタンを外せばスリットが入るようになっているので戦闘も問題ない。
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