13話――休憩・ハニー⑥
レイラちゃんは「人造人間」の項目を消すと、今度は「改造人間」と書く。
「そしてジェイソンの体を解剖して分かったことですが」
「あ、やっぱ死んでたの?」
「いえ、生きてましたけど『殺してくれ』って言ってたのでそのまま解剖しました。生きてるデータも取れたので、良かったです」
しれっと言ってるけど、生きながら解剖ってなかなかの拷問行為な気がするわ。
「まず心臓や胃などの臓器が魔道具と化してました。たぶんわたしのところから盗んだ賢者の石による効果なんでしょうけど……色々雑ですね」
雑の一言で切り捨てるレイラちゃん。流石にストロングスタイル過ぎる気もするけれど、彼女はちょっと怒った風なので……もしかすると、自分の発明した賢者の石を使われて怒ってるのかもしれない。
「わたしならもっと性能が良い改造人間に出来るのに、あの程度で済ませるなんて……」
「あ、そこなんだ」
「粗雑ですし、何より合成されている魔道具の性能があまり高くないです。恐らく魔道具は全て市販品ですね」
いやでも、あのジェイソンは衝撃を完全に無効化していた。私のウィンが体内に攻撃するという抜け道でやっと傷つけられたレベル。
あんな魔道具、市販品であるのかしら。
私の疑問に、レイラちゃんは図で説明してくれる。
「ジェイソンについてた魔道具でユウさんが持っている剣と同レベルの物はありませんでした。しかし、それに準ずる……一級くらいの魔道具は三十個ほど入ってましたけど」
一級くらいの、というところでカーリーとユウちゃんが苦笑とも困惑ともつかない顔になる。
ユウちゃんが持っている剣は、この前ゴブリンキングを倒した時に入手したもの。
相当な業物ってことだけ聞いているけど……その言い方だと、一番上の超級レベルの剣ってことにならない?
「女神、所持者に限定的とはいえ不死の効果を与える剣が、超級じゃないとでも?」
「い、いやほら……ジェイソンって攻撃無効だったし、そんな珍しくないのかなって」
「まぁイザベルさんの蹴りを耐えられる生物の方が珍しいでしょうからね。本人の認識として、あんまり変わらないのもなんとなく納得できます」
どことなく呆れた雰囲気の皆。いやだって、立て続けに戦った連中がそんなんばっかだから、皆それくらい強いのかと思うじゃない。
「とはいえ、割と奇跡的なバランスで融合していたので……『組織』の人たちも、もう一回やれって言われても出来ないと思いますよ」
「継ぎ足していったら、なんか出来ちゃった二度と再現出来ないスープみたいね」
「表現が庶民的過ぎますけれど、まぁそんな感じです」
となると、向こうが改造人間を作り直してもジェイソンは出てこないと思って良いのね。あいつは倒すのが面倒だから少し安心だわ。
「ただ、ジェイソンの身体……というか改造前の素体は、たぶん人造人間じゃないと思います。だからあれって、テキトーな素体にテキトーに魔道具を突っ込んでいったら出来ちゃった改造人間なんじゃないでしょうか」
そんなテキトーな……と思ったけれど、確かにマリンと違ってジェイソンからはイマイチ知性を感じられなかったものね。
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