表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/312

12話――レージョーズ・エンジェル④

「や、雇われてなど……! その、た、確かに懇意にさせていただいている方はいます。しかし、しかしですね!」


「そいつの判断が、親会社の社長である――っと、その概念は無いわね。んー、まぁ商会の長である私の判断よりも上であると言いたいのよね」


 だから私の提案を断っている、と。

 であるならば、私からの答えは一つだ。


「呑まないなら、首にするだけよ。アンタが誰と関わっていようか、一切考慮に値しないわ」


「……で、ですから。その、合理的に――そう、合理的に考えてですね。今までの体勢をすぐに変えたら従業員にも混乱が……」


「だから段階的にって言ってるでしょ? それに私は、辞めたい人を引き留めてまで働かせようとは思っていないわ」


 この世界に雇用契約書なんて存在していない。それもどうかと思うけれど、労働者の権利なんて前世ほど保障されていないのが実情だ。

 よって彼をこの場でクビにすることは何ら問題無いし、心情的にも別会社の人間の息がかかった奴なんて雇いたくない。


「で? 他にケツ持ちがいて、そいつの意向で変えられません――以外の理由があるの?」


 私の追及に、グッと言葉を詰まらせるジーミー。大きくため息をついて、足を組んだ。


「ここで食い下がらなければ、今は・・バレなかったのにね。それじゃあ、三日以内に荷物を纏めて出て行って頂戴」


「ま、待ってください! わ、わたしには妻も子どももいるんです!」


「なら別の店舗でボーイとして雇ってあげるわ。バイト待遇だけど、どうせ人手は足らないし。今まで通りの贅沢は出来ないかもしれないけれど、暮らしていくなら十分な給金を出すわ」


「そ、そんな!?」


 同情を引こうとしても、あまり意味は無い。どうせここで見逃した所で、マリンくんちゃん達に調べさせて――クロだったら、問答無用で首だからね。

 言葉に窮し、俯くジーミー。私は背もたれに体重をかけ、足を組み替える。

 そうして、一分ほど経った所だろうか。彼はぶつぶつとうつむいたまま何かを呟き始める。


「イヤだ……か、金が……金を……う、うう、し、死にたくない……」


「……聞こえないわよ、なんて言ってるの?」


「嫌だ……うう、うう……金が、金が……やっと、もう少しなんだ……もう少しなのに、う、うう……」


「――時間切れね。また三日後、新しい店長を連れてくるわ」


 私が立ち上がろうと足を降ろしたところで――背後のドアが開いた。中から屈強な男が三人ほど、中に入ってくる。

「面白い!」、「続きを読みたい!」などと思った方は、是非ブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が速くなるかもしれません!

是非よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あ、これは脅されてる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ