12話――レージョーズ・エンジェル②
合法的に女の子を甚振る手段は実際に存在していて――またモラル違反でも無い。前世がある私たちからすれば嫌だけど、こちらの世界の常識なら奴隷は物なのだから。
それ故に、私はそっちに手を入れる気はまだ無い。最終的には奴隷の扱いにも言及するつもりではあるけれど、そうなると国法とかち合っちゃうからね。
「しかしですな、誰でも奴隷を買えるわけでは……」
「ええ、そうね。奴隷には維持費がいるし住むところも必要。だったら楽に娼館で済ませたいって輩もいるでしょうけどね」
そう言いながら、私は懐から書類を取り出す。内容は、女の子の入れ替わり要因について統計を取った物。
入れ替わりとぼかしたけれど、つまり死因だ。ここまで落ちてきている子がそうそう昼職に戻れることも無いから。
そして日本と違い、加齢による引退も殆どない。何故なら、そこまで体が無事な子の方が稀だから。
それを踏まえて、統計を取ると――
「一位が性病の悪化。二位が妊娠で、三位が感染症ね。四位に栄養失調などの自己管理不足による疾病、そして五位に店とのトラブル。その他にいくつかあって……ギリギリ十位に滑り込むのが、客からの暴力。四位以上が群を抜いて高いのが分かる?」
この統計は、ここ数年分の統計だからかなり信憑性は高い。誰がこんなものを取っていたのかというと……なんとイザベル(真)。
あいつはどうも、娼館街を完全になくすつもりだったようでトラブルや経済規模などを調べていたのだ。そして潰すにはかなり面倒だということが分かりその計画は頓挫。
原作ではかなり潔癖な性格だったから、その辺が出てやろうとしていたんでしょうね。
「この通り、客から働けなくなるほど暴力を振るわれるケースは少ないの。無いわけじゃないけれど、それを目当てに来ている客は……ビジネス的には『いない』とみなしていいレベル。だからこれは客への制限というよりも、働く女の子たちが安心出来るためのものと思ってちょうだい」
実際問題、女の子を痛めつけて興奮する層って言うのは……いるんだろうけど、マジョリティでは無いわよね。
荒々しい行為や、本番行為なんかは喜ぶ層は多いだろうけど『嬢が怪我する行為』を喜ぶ層はマイノリティ。
全面的に禁止されて嫌がるような奴は、この領地から出て行かれても問題ない。
「こ、こんなもの……」
「領主である私が直々に調べた物よ。まさか捏造だ――なんてほざくんじゃないでしょうね」
ぐっと黙り込むジーミー。
もちろん、この理屈通り物事が運ぶだなんて思っていない。私の想定よりも状に加害行為を行いたい連中がいるかもしれない。
しかしそれでも、ここは娼館街。形態を変えたところで、致命的な売り上げダウンは起こりづらい。
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