11話――1upスタート⑤
「さっきの商売の基本について話したわね。その流れをもう少し詳しく書くわ」
指を鳴らすと、ボードが書いてることを消して新しく文字を書いてくれる。
『お金(仕入)』→『商品(販売)』→『お金(売上)』
『売上から仕入を引いた金額=利益』
「これが商売の流れね。お金を商品に変えて、それを再度お金に変える。さてこれを金貸しにしてみるとどうなるかしら?」
『お金(販売)』→『お金(売上)』
『売上から仕入を引いた金額=利益』
「こうなることが分かる?」
全員、なんとなく頷く。カーリーだけは一度話したことがあるから、ちゃんとしっかりした表情で頷いているわね。
「つまりお金を商品と考えると、間に仕入れを挟まずに儲けてると言えるわけ。これがどういうことかと言うと……『誰でも』同じことをやればお金が増えるのよ。貸して、返して貰えばね」
パチンとウインク。何故か町長だけちょっと「ほう……」みたいな顔になった。あんたは奥さんいるでしょうが。
私はお茶のお代わりを飲んで、ふうと息を吐く。
「さて金貸しは『お金を売る』商人とも見れるってわけなんだけど……これには少しだけ違う点があるの。それはね『返してもらうまで継続的にお金を貰える』ってこと」
本当は商品が劣化しないとかいろいろあるんだけど、今は本題の部分にだけフォーカスして話を進める。
「『入れているだけでお金が増える金庫』……そうやって言うと胡散臭いけれども、『入れる』んじゃなくて『貸してる』って言いかえるとどうかしら」
ここまできて、町長は流石にピンと来たようだ。目を丸くして、笑顔になる。
「つまり、『誰でも金貸しになれる』ということですな!?」
「その通り。『入れているだけでお金が増える金庫』の正体は、『お金を金庫に入れる』んじゃなくて『お金を金庫に貸す』ってわけ。そして貸された金庫は、そのお金を元手に別の商人に貸したりしてお金を増やすの。そして増やしたお金で、貸してくれた人には金利分だけ払うわけね」
「ああ……じゃああれか、金庫に貸すってのは金庫にとっての商品の仕入れってことか」
チコリーがぽんと手を打つ。なかなか察しがいいわね。
「その通り。これが私の作りたい物――『銀行』のシステムよ」
私たちは銀行にお金を入れる時に『預ける』と言う。システムを理解していれば、どうして銀行の残高を『預金』と言うのかの謎が解ける。
……いまどきは小学生でも知ってるかもしれないけどね。
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