11話――1upスタート③
さて、カーリー達の喧嘩も終わり……女の子たちの看病の環境も整えた。
そんなわけで私とカーリー、『菫の蜜』の二人、そして町長の計5人で机を囲う。
「つまらない物ですが」
町長の奥さんがお茶を置く。喉が乾いてたのでごくごく飲むと、カーリーが肘で脇腹をつついてきた。
「(イザベル様は貴族なんですから、そんな品のない飲み方しないでください。はしたないですよ)」
「(いいじゃない、もう足を百八十度開いて戦ってるんだし。はしたないなんて、今更よ)」
コップをテーブルに置いて、一息つく。なかなか美味しいお茶だった。
「マヤサのお茶ね。うちの領地じゃ、珍しくちゃんとした特産品」
「珍しくって。イザベル様、自分の治める領地にもう少し誇りを持ちましょうよ」
だってマータイサって何にも無いんだもの。
それは置いておいて、私はみんなを見回す。
「さて本題に入りましょうか。今からあんたらにやって欲しいのは『入れてるだけでお金の増える金庫』を作る手伝いなの」
「「「「『入れてるだけでお金の増える金庫』?」」」」
カーリー含めた全員が頭の上にはてなを浮かべる。
「それってあれか? 私が昔買った『貯金するだけで金が増える貯金箱』みたいなやつか?」
「あんたそれ、ニセモノだったじゃない」
「ちげーよ! あれはめっちゃ時間がかかるって言われてたから、まだ途中だよ!」
「だからってもう五年よ!?」
「百年経ったら増えてるかもしれねえだろ!」
「鍾乳石か!」
なかなか学があるわね、ポッカ。そしてチコリーはなんでそんな胡散臭い商品を買ったのかしら……。
「魔道具を作るということでしょうか? しかしわしらにはそんなノウハウは……」
町長が少しおどおどとした雰囲気で言う。この流れじゃ、魔道具と勘違いしてもおかしくないか。
私は肩をすくめて、首を振る。
「そんな胡散臭いアイテムでも無ければ、魔道具でも無いわ。今からどういう理屈で『入れているだけでお金が増える』のか説明するわね」
本当はホワイトボードとかがあると良いんだけど……そんな物は無いので、私は使い魔の『ボード』を呼び出す。口頭で言ったことを表示してくれる白版だ。
「つ、使い魔!? イザベル様、あんた魔法使いだったのか!? あの馬鹿力で!?」
「お、おいポッカそんなに驚いたら失礼だろ! すいません、うちのポッカも悪気は無いんです。ただちょっと魔法使いにはもう少し知的なイメージがありますから……」
「あんたら二人ともお仕置きよ!」
拳骨を二発落として、一息つく。まったく、私はどう見ても知的でしょうが。
「たしかに、今更でしたね」
ため息をつくカーリー。ちょっと反論出来ないわね。
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