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11話――1upスタート①

 さて、あれから五時間後。

 レイラちゃんがようやく満足したので、私たちは町長の家に向かっていた。

 途中でカーリーがお洋服とかを持ってきてくれたので、ユウちゃん達は先に町長の家に着いているそうだ。


「あれも試したかったしこれも試したかったのに……」


「はいはい。死んでいい人間なら今度渡してあげるから」


「えっ、本当ですか!?」


 また目を輝かせるレイラちゃん。彼女なら、オルカたちの死体も有効活用出来るだろう。

 それに、ジェイソンのことも調べて欲しいし。


(生きてるかはわからないけど……まぁ、骨くらいは残ってるでしょ。たぶん)


 三人で町長の家にたどり着くと、そこでは町長が大泣きしながら――自分の腹に剣を突き立てようとしているところだった。


「やめたまえ! そんなことをしても誰も喜ばない!」


「わしは、わしは馬鹿じゃ! なんで、なんで女しか行かせないと言っておった!? 真に娘を思うならそんなこと言っている場合じゃないじゃろう! 否、町長として失格じゃ! 死なせてくれ、死なせてくれええええええええ!!!!」


 ユウちゃんが必死に町長の剣を取り上げようとしているが、年齢の割に素早い身のこなしでそれを回避している。なんというか、結構大変そうねぇ。


「って言ってる場合じゃないですよ! 止めないと!」


「別に止めなくても良くないですか? あの人が死にたがってるんですし」


「まぁ止めた方が良さげね。あの人が死んだ後に、町長を決めるの面倒だし」


 やっと面倒ごとであるゴブリンの件が終わったばかりなのに、そんなことで頭を悩ませるのは嫌だ。

 私は町長に近づくと、彼が持つ剣を蹴りでへし折った。


「ぐわあああ! な、なにを――イザベル様!? え!? い、イザベル様がへし折ったんですか!? え!? 人間ですか!?」


「死ぬのは全部終わってからにしなさい。って、あんた最後失礼なこと言って無かった?」


「いいえ滅相もございません」


 しれっと首を振る町長。さっきまで死ぬだのなんだの言っていたくせに、調子がいいわね。

 私はため息をついてから、腕を組んだ。


「それじゃあ、話の続きをするわよ。いろいろと、お金儲けが出来そうなアイディアがあるのよ」


「お金儲け……ですか? し、失礼ですがこのトミサは大した産業も無い街です。商人ギルドにも加入できない小さい商店などしかありませんし……」


「だからいいのよ。こっから銀行をスタートさせるのにもってこいだわ」


「ギンコウ?」

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