10話――ゴブリンマーダー③
「邪魔よ!」
空気の撓む音とともに、ゴブリンキングが天井に打ち上げられる。私の蹴りが顎にクリーンヒットしたからだ。
ギャグマンガみたいになったゴブリンキングだが、なんと天井に刺さったまま両腕が生えてくる。
「って、は?」
私が驚いていると、カーリーが剣を引きずりながらこちらへ寄って来た。
「ダンジョンマスターはダンジョンがある限り、無限に再生するからですね。普通は最奥の魔道具を奪えば倒せるんですが……」
そう言って剣をみるカーリー。なんとも渋い顔だ。
「解析してみたんですけど、この剣は地形を操作する能力があるみたいなんですよね。ただそれは、地形を操作する場所に魔力を流して――」
「端的におねがい」
「このダンジョン内にいる限り、あのゴブリンキングは不死身です」
なるほど、厄介ね。
普通に考えたら。
「好都合ねぇ」
「え、好都合?」
きょとんと首を傾げるカーリー。一般的に考えれば面倒なんだろうが、武器を失って戦力としてほぼ驚異の無い相手であれば障害になり得ない。
むしろ、女の子たちの苦しみを味わわせるには絶好のチャンスだ。
「ゴオオオオギイイイイ!!」
天井から頭を抜いて着地するゴブリンキング。その着地際を狙って、私は蹴りで心臓をくりぬく。
足を引き抜き、後ろ回し回転蹴りで再度壁に叩きつけた。
「ゴ、ブ……」
「私は優しいから、あんたにチャンスをあげるわ」
胸の傷が埋まっていく中、私は足を踏みつけて骨をぐしゃぐしゃに砕く。
声無き悲鳴をあげるゴブリンキングに、笑顔を向けた。
「この巣穴から逃げ出せたら、殺してあげる。それまでは、無限に死に続けなさい」
踵落としを脳天に叩き込む。潰れたトマトのように赤い液体を飛び散らせた死体は、怯えた表情になりながら再生していく。
「死にたければ、全力で逃げなさい」
「ご、ゴブゴブゴブガァァァ!」
両腕で押し倒そうと私の肩を掴むゴブリンキング。私は肩を掴まれたまま、ローキックでゴブリンキングの膝から下を消し飛ばす。
苦悶の表情を浮かべながら、バランスを崩すゴブリンキング。再生する前に股間を蹴り上げると、いきり立ったモノが弾け飛び……そのまま体がど真ん中から真っ二つになった。
「うわぁ……これ、人間相手だとどうなっちゃうのかしら」
この肉体で全力で蹴ってもビクともしないゴブリンキングがバターのように斬れちゃうんだもの。
うん、まぁ人を相手にする時は加減をしないとね。ムカつく相手はさておいても、積極的に殺したいわけじゃないし。
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