1話――見知らぬ、天蓋ベッド-⑤
「あー、もー。仕方ないから、全額一気に返すしか無いわね。現金で突きつければ向こうも納得するでしょ」
頭を掻きながらそう言うと、カーリーが申し訳なさそうな顔になって起き上がる。
「で、でもですね……その、現金が入るのは四日後でして……」
「四日? ……ああ、納税日が四日後なのね。じゃあ四日待ってもらって全額返済して……」
「でも四日後には他の支払いがあって、こっちは借金じゃないんですが……」
ベッドから立ち上がったカーリーは、部屋の入口に置いてあったカバンから書類を取り出す。そして出るわ出るわ、大量の請求書。
見たくもないが、目を背けても状況は改善しない。止む無くそれらに目を通し……そして、借金がボコボコと膨れ上がっていた理由を察した。
この領地、借金を返すために借金してやがる。
「自転車操業ね……うわぁ……もうやだ帰りたい……」
「あっはっは、何言ってるんですか。イザベル様のおうちはここですよ?」
朗らかに笑うカーリー。私は彼女の右肩と左ひじを掴み、自分に引き寄せながら左足を思いっきり左足で払った。
「私の家はサッテ町の東部にある村よ!!!」
「大外刈りっ!?」
床に肩から叩きつけられ、悶絶するカーリー。ゴムまりが弾むような音が響いたが、かなり痛かっただろう。
「何が悲しくてマイターサ領のラウワ区に来なくちゃならなかったのよ!! あーもー!」
「あれ、マイターサ領ならヤオーミ区の方が好みでした? あっちは若干ドヤ街が多めですよ」
「賑やかで嫌いじゃないけど、比べるなら上品だからラウワの方が好きよ。ってそこじゃないのよ!! 私はサッテで平和に暮らしてたかったって言ってるの! あーもう……!」
でもマイターサの領地を任された子爵になったのだ、こうもしていられない。
「そういえばマイターサって領地騎士団、無いのよね」
「はい。第一騎士団と第二騎士団が常駐しています。イザベル様が、王都ウキョートが近いのだからすぐに本隊も来れるし必要無いと」
最初からあてにはしていなかったが、これで最悪騎士団を乗り込ませて有耶無耶にするっていう手は使えなくなった。
第一騎士団とは、国の運営している軍隊だ。この世界にもいる巨大な魔物や、国同士の戦闘を主に担当している。
そして第二騎士団がいわゆる警察。国家が運営しており、法律に則って犯罪者を逮捕する。
「こんなクソみたいな運営してて、領地騎士団なんて運営出来るわけないわよねぇ……」
そう言ったところで、何か事態が好転するわけじゃない。
私はカーリーを立ち上がらせ、部屋の外へ向かう。
「ど、どうされましたか」
「ここで話しててもらちが明かないわ。取り敢えず朝ご飯、そして明日までに何とか対策を練るわよ」
口先三寸でどうにかなるような相手ならいいが、無限返済編を迫るような狡猾な闇金だ。こっちが領主だとしてもどうなるか分からない。
「腹が減っては戦は出来ぬ、よ。カーリー、コックに準備させなさい!」
「はい!」
まずは腹ごしらえ。子爵家のコックなんて凄腕だろうし、さぞ豪華だろう。とても楽しみだ。
「でもコックはこの前クビにしたんで、ボクが作りますね」
そんなことだと思ったわよチクショウ!!
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