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9話――ワタシたち花のメガミ組⑥

 レイラちゃんはせっせと何か粉薬を女の子たちに飲ませている。目を虚ろにして唸っていた女の子たちが、たちどころに眠りについていく様子からして……睡眠薬か何かかしら。

 私が首をひねっていると、レイラちゃんは得意げに小瓶を取り出した。


「魔法じゃどうにもならないところに、大活躍するのが錬金術です。もともとは不老不死を目指した医学的側面も持つ学問なんですから、この程度の状況はお茶の子さいさいです」


 どや顔のレイラちゃん。隣でカーリーがフィンガースナップをすると、女の子たちが皆手足の拘束から解放されてその場に転がった。


「よくわかりませんが、取り合えず自由にしました。――それで、レイラさん。何をしてるんですか?」


「簡単なことですよ。女の子たちの肉体を元に戻す薬です。具体的に言うとたぶん、イザベルさんは勿論カーリーさんも理解出来ないと思います」


 なんで私は最初から理解出来ない前提なのよ。正直聞いたところで理解出来ないだろうと思っているから、余計に腹が立つ。


「念のため聞いても?」


 カーリーは退かず、突っ込んで質問する。レイラちゃんは他の子にクスリを飲ませながら答えてくれる。


「この薬はマンドラゴラとイルギニオン、アレヴィニアとルサ、そしてジルグンヌベージラから抽出した――」


「そういう専門的なことが聞きたいんじゃなくて、効果が聞きたいんですけど」


 ズバッと指摘するカーリー。私も同感なので頷くと、レイラちゃんは「だから言ったのに」みたいな顔になる。いや、普通は効果の方を聞きたいでしょ。

 肉体を戻す原理を聞きたいけれど、植物の組成の働きが聞きたいわけじゃないのよ。

 レイラちゃんは軽くため息をついて、話を再開する。


「このお薬、簡単に言っちゃえば『妊娠する前の肉体に作り替える薬』です。魔物の特性によるものといえど、妊娠は『治せる』ものじゃありません。魔法使いでも聖女でもどうしようも無いわけです」


 だから――とレイラちゃんは薬を振る。


「『元に戻す』のではなく、『元の状態に作り直す』。体内に残る魔物の胎児や精液、それでも足りなければ脂肪とかを使って肉体を造り替えます。妊娠どころか性行為の経験すら無い肉体に」


 いや処女に戻すのはやりすぎな気もするけれど。

 あと、魔物の体を使って体を造り替えるって……。私とカーリーが若干ドン引きしているが、レイラちゃんは自分の研究成果を発表する研究者のようだ。


「厳密に戻るわけではありませんけれど、これらの薬を併用すれば……少なくとも、この地獄を『無かったこと』には出来ますから」

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