9話――ワタシたち花のメガミ組③
「へぇ、下……地下なのね」
となれば、上部に出ている丘は破壊し尽くしても大丈夫そうだ。
崩落の危険がるかもしれないが……あくまでこれは巣穴。そんな軟な作りにはしていまい。
「アクア、やっちゃって!」
「ぷるぷる!」
アクアが両腕を巨大化させる。そして右腕を右回転、左腕を左回転させだした。
その二つの拳の間に生じる衝撃と海流を以て、ゴブリンの巣穴を破壊する。
「闘技! 神水嵐!」
「とんでもないパクリ方しますねイザベル様!?」
「そっこーで行くわよ!」
アクアの生み出した二つの激流が、轟音と地響きをたてながらゴブリンの巣穴を蹂躙していく。
異なる回転同士に挟まれた部分は捩じ切れ潰され、それ以外の部分にあたった物は全て海流に飲み込まれやはり圧し潰される。
私――というかアクアの奥の手の一つ。これを完成させるまでかなり年月がかかった。その分、威力は絶大。
「ありがとう、アクア。お疲れ様、しばらく休んでていいわよ」
「ぷるぷる〜」
縮んでいくアクア。彼女をいったん水に戻し、代わりにウインを呼び出す。
「『エンベッド・デュオ』!」
裏拳でウインに力を注ぎ込み、再度魔人形態に変化させる。
それと同時に、三個の穴が地面に空いてゴブリンウォリアー、ゴブリンバーサーカー、ゴブリンメイジが出てきた。
「ッ! メイジは任せ――」
トマトのように潰れるゴブリンメイジ。後ろを見ると、レイラちゃんがにこやかに笑っている。
「やっぱり、ゴブリンって潰れた時の音が弱いですねー。もしかすると、中身があんまり詰まっていないのかもしれませんね」
冷静に分析するレイラちゃん。私は若干唖然としながら、ゴブリンバーサーカーの首を蹴りで斬り落とす。
「ねぇカーリー、あの子の魔法……何? だいぶチートっぽくない?」
「蹴りでゴブリンバーサーカーの首を斬り落とせるチート人間が何言ってるんですか」
フィンガースナップのワンアクションでゴブリンウォリアーを殺してる十歳児の方がよほどチートよ。
ズタズタになった丘を進んで行くと、ウインが一つの穴を指差す。その道が苗床まで続いているらしい。
「行くわよ。二人共、準備はいい?」
頷く二人。三人で同時に巣穴に入ると、広めの空洞になっていた。やはり内部は人が立って通れる大きさになっていたわね。
「来ます!」
カーリーが叫ぶと同時、ゴブリンがわらわらと群がってくる。その視線は全て敵意に染まっており、何がなんでも私たちを苗床にぶち込もうという気概が伝わってくる。
「いいじゃない、かかってきなさい!」
私は素手で巣穴の壁を破壊しながら、そう叫ぶ。
「どっちが支配者か、思い知らせてあげる!」
「キイイイイイイイアアアア!!」
ここからが本番。第二ラウンド開始ね。
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