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8話――サイミン×ト×ハンゲキ③

「だるいわね」


 とはいえ、この程度なら物の数にも入らない。爪や牙を振り上げて襲い掛かってくるゴブリンたちの首を、蹴りで丁寧に飛ばしていく。

 イザベルの体は、やはりすごいわね。数秒で全てのゴブリンを肉塊に変え、ブーツの爪先で地面を二度ほど叩く。


(取り合えず雑魚なら、素の身体能力だけでどうにかなるわね)


 上半身だけ振り向き、後ろで見ている二人にサムズアップする。そして前を向いた時――なんとも言い難い、異様な雰囲気を感じ取った。


(なにか、いるわね)


 巣穴の入り口付近に、いる。人間の雰囲気じゃないし、ゴブリンなのだろうけど……さっきまでの無知性って感じの連中とは一回りも二回りも違う。

 ってことはおそらく上位個体。私は背後の二人にサムズダウンを見せてから、ウインをそばに寄せる。これで一先ず、逃げるだけは出来るだろう。

 ゆっくりと、顔を顰めながら巣穴に近寄っていく。人が一人……腰を屈めるか、四つん這いになれば入れそうな大きさ。

 ゴブリンは基本は二足歩行だけど、四足歩行で走ることも出来る。たぶん、それを前提に穴を掘られているのだろう。


(人は攻めづらいし、中に入りづらい。これなら、腕利きの冒険者でも苦戦するでしょうね)


 中まで入れば広くなっているのかもしれないけれど、レイラちゃんがアリみたいって言ってたし……望み薄かしらね。

 私は少し屈んで中を覗き込んでみると――中から三体のゴブリンが再度湧き出てきた。

 驚きつつも膝を地面についたまま、上半身だけでそいつらを捌く。ウインとの連携で、全員縦に真っ二つにしたところで……中から杖を持ったゴブリンが現れた。


「ゴブリンメイジ!」


 ご主人様が杖を掲げたのを見て、私ははたと自分が服を着てしまっていることに気づく。

 なんでこんなはしたないことをしているのかしら。目の前にご主人様がいるというのに。

 膝をつき、上半身の服を脱ぐ。今日は脱ぎやすい服装で助かった。

 ああそうだ、まずご主人様にしてさしあげないといけないことが――


「イザベル様!?」


 ――目の前には、カーリーの顔が。あれ、さっきまでご主人様がいたはずなのに。


「ちょっとカーリー、ご主人様は?」


「ごしゅ……!?」


「あー、これヤバいですね。カーリーちゃん、解呪できます?」


 解呪? 何を言っているんだろうか。

 隣でウインがおろおろしている。心配しなくても、変なことは起きていないのに。


「取り合えず寝てくださいイザベル様!」


「何言ってるのよ。私は早くご主人様の子供を産まなきゃ――」


 そう言いかけたところで、私の意識が薄れていく。


「あ、れ……?」


 変ね、どんどんカーリーの顔がおぼろげになっていくわ。


「今から解決しますから、いったんイザベル様はボクらに任せてください!」


「でもイザベルさんがリーダーなんですから、早く起きてくださいね」


 大慌てのカーリーと、優しい表情のレイラちゃん。

 二人に見守られながら、私は意識を手放すのであった。


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