7話――今日から女騎士!⑦
私は魔力や魔法の残滓なんか感じることは出来ないが、カーリーは一か月前の魔法の跡からですら誰が使ったか特定できる(らしい)。
その彼女が目の前に出るまで分からなかった呪術を使える呪術使いか……。
「これも組織、かしらね」
「さぁ? まぁでも、イザベル様は大丈夫だと思いますよ。呪術って発動に時間がかかる上に、罠でも張らない限りは射程がかなり短いので」
射程が短いのはありがたいけれど、それで何故大丈夫と言い切れるのだろうか。
私が首を傾げると、カーリーはケラケラと笑う。
「いやぁ、相手がなんかしそうだったら蹴飛ばして一撃で倒せば大丈夫ですよ」
「私のことを何だと思ってんのよあんたは」
「森の賢者?」
「賢者に『森の』って修飾したらオランウータンかゴリラでしょうが!」
「イザベルさん、大丈夫ですよ。原作通りならオランウータンなんか目じゃないですから」
「褒めてくれて嬉しいけど褒められてる気がしないのよ!」
笑いあうレイラちゃんとカーリー。仲良くやってくれるのはいいけれど、私をダシにしてるのは気に喰わないわね。
「それで、近くまでは馬車で行くのよね?」
「いえ、馬車だと小回りが利かないので馬で行きたいですね。ボクは飛んでいくんで、お二人は馬で」
「わたしも飛んでくので、イザベルさんだけ馬を使ってください」
「このビックリ人間どもめ!」
なんで私だけ飛べないのかしら。
仕方が無いので、私はウインを出して――エンベッド・デュオを使う。人型になったウインが、私をお姫様抱っこで持ち上げてくれた。
「私だって飛べるわよ! 行くわよ、ウイン!」
「びゅうびゅう~……」
ちょっと悲しそうな表情で首を振るウイン。風を操る能力はもっているし、自分が飛ぶことは出来るけど……私を抱えて飛んだことは無いので怖いようだ。
「いや素直に馬を……」
カーリーが後ろで何か言っているけど、私はそれを無視してウインに命令する。
「ほら、どうにかしなさいウイン!」
「びゅう~……びゅう!」
しょげた表情だったウインは、私を降ろしてから手を打った。そしてその辺の木を切って、蔦と板をつなげたブランコのような物を作った。
「びゅう!」
「これに乗れって? 分かったわ」
流石にただの蔦だと怖いので、手綱の使い魔、レインズをエンベッドしたけども。
「さぁ、出発よ!」
号令をかけて、飛び上がる。
目指すはゴブリンの巣穴ね。
「……いや、度胸どうなってんですかイザベル様」
「元ヤンなんですかね?」
いや身一つで飛べるあんたたちの方が度胸凄いと思うけどね!?
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