7話――今日から女騎士!②
私が言うと、町長はあんぐりと口を開けてフリーズした。
「何、不満? 全員、実力は粒ぞろいよ」
原作最高の身体能力の持ち主、マイターサ最高の魔法使い、賢者の石を作れる錬金術師。ゲームの初期メンバーでこんなのがいたら、ヌルゲー間違いなしのメンツだ。
私が睨んだからか、町長は気を取り直して音が出そうなほどの勢いで首を振る。
「い、いえ滅相もございません! しょ、少々驚いただけでして……」
口ごもりつつ、目線を泳がせる町長。まぁ私が逆の立場なら「何言ってんだこの小娘」ってツッコミを入れるし、それを我慢できただけ大人かもしれない。
そう思いつつ、しかしいつもの毅然とした態度を崩さないでいると――彼はまた目を狂気に染め上げ、カーリーを睨んだ。
「しかし……そちらのお嬢さんには行って欲しくありませんな!」
一瞬前までのしおらしい姿はどこへやら。私が虚を突かれて言葉を詰まらせると、町長は口角泡を飛ばさん勢いでまくし立ててきた。
「ゴブリンの巣ですぞゴブリンの巣! そこにそんな少女を連れていくなんて言語道断! 絶対にあってはならぬことです!」
いや女の子だけでゴブリンの巣に行かせようとするのも大概ヤバいんじゃないかしら。
私が呆れてそう言おうとしたところで……カーリーの表情が真剣な物に変化した。何かに気づいたような、そんな雰囲気だ。
「ちょっと、どうし――」
「分かりました! ボクもおかしいと思ってたんですよね。ってことで、イザベル様がんばです! ボクは馬車に戻ってますんで!」
「――えっ!?」
まさかの展開に困惑するが、カーリーはウインクをしてさっさと戻ってしまう。
彼女のことだから本当に帰ってしまうことは無いと思うが、どうしたのだろうか。
「では、イザベル様。中へどうぞですじゃ」
去って行ってしまったカーリーが心配なので、こっそりウインを呼び出して彼女のあとをつけさせる。そしてレイラちゃんと一緒に、町長宅へ入っていくのであった。
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町長宅の中は割と普通の民家だった。リビングらしきところに通され、私とレイラちゃんの前にお茶が置かれる。
「粗茶ですが……」
「ありがとうございます」
お茶を出してくれた奥さんに笑顔を返し、改めて町長さんを見る。年齢は五十代くらい、ハゲてはいるけど普通の優しいおじさんって感じだ。見た目だけは。
(さっきからちょこちょこ、目がおかしいのよね)
異様な狂気を感じる。カーリーを追い出そうとした時なんてまさに操られているかのようだったし。
「それで、その……この度はイザベル様にお越しいただいて……」
「ああ、そういう儀礼的なのはいいわ。私は事件を解決しに来た冒険者とでも思ってちょうだい」
「は、はぁ……」
緊張した面持ちの町長、私はそれをスルーしつつ話を進める。
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