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6話――我儘の錬金術師⑨

 戦って勝つ自信が無いわけではないが、女性として流石にそんな場所に行きたくはない。特につい先日、とんでもない地獄に出くわしたばかりだ。

 もちろん、可愛い女性が毒牙にかけられていると聞けば今すぐにでも騎士団を派遣したい気持ちはある。正式な騎士団は無いけど。

 しかし、仮に正式な騎士団があったとしても……やはりまだ騎士団が出る幕では無い。

 私は少し申し訳ないと思いながらも、軽く頭を下げる。


「やっぱり申し訳ないけれど、それはまだ冒険者に任せる段階だわ。条件的に女性の冒険者はそうそう集まらないかもしれないけれど、私の方から伝えておくから――」


「まぁ、仕方ないですよね。いくらイザベル様とはいえ、怖いですよね」


「――は?」


 レイラちゃんの言葉に、私は動きを止める。

 しかし彼女はやれやれとでも言わんばかりに首を振ると、ため息をついた。


「ゴブリンですものね。いくら世界最高の肉体を持っているといえど、イザベル様も女の子ですもんね。相手がゴブリンともなれば、尻尾を巻いて逃げ帰るのも仕方ないです」


「ちょっ、ちょっと待ちなさい」


 私が制止するも、レイラちゃんは残念そうな表情で立ち上がる。


「いえ、仕方ないですよ。だって怖いですもん。そもそも、女の子だけに任せようっていうのがおかしいんですから。可愛い女の子が被害を受けてると言っても……所詮、イザベル様も女の子ですもんね」


 隣でカーリーが「うわぁ……」みたいな目で見てくるけれど、私は爪が食い込むほど拳を握りしめる。

 しかしレイラちゃんは止まらない。それどころか、憐れみの表情すら向けて来た。


「わたしやそこのカーリーさんみたいに、生まれた時から記憶があるならまだしも、しょせんは十六歳の小娘ですもんね。世界最高の肉体を持ってると言っても、現代日本の温い生活に慣れた、か弱い女の子ですもんね。あ、無理しないでください」


 立ち上がろうとした私をあろうことか制して、レイラちゃんはにっこり笑った。


「ビビっても仕方ないですよ。だって怖いですもんね」


「やってやろうじゃないのこの私が!!!!!!」


 思いっきりテーブルを叩いて、私は立ち上がる。


「あー、いいじゃないの。やってやるわよ! 怖い!? そんなわけないでしょ!? 被害にあってるのが女の子なのよ! ここで行かないなら女が廃るわ!」


 私の拳で思いっきり叩いちゃったもんだから、テーブルが完全に粉々になっているけどそれは無視。こんなもん、後で金を稼いでから買い直せばいいのよ。

 そんなこんなしていると、扉の向こうからノックの音が。


「あのー、姐さん。お紅茶が入りまし――」


「マリン! 今からちょっと出てくるから留守番お願いね!! あと、このテーブル片付けといて!」


「うえっ!? は、はいっす姐さん!」


 紅茶をお盆に乗せたマリンは、何故か嬉しそうに頷く。本当にいけない扉が開いてるわね。


「ほらカーリー! 準備するわよ! レイラちゃん、五分で化粧まで終わらせるからちょっと待ってて!」


 扉を開き、私は自室に向かう。

 やってやろうじゃないのよ、ゴブリン退治くらい。



「……ちょろいですねー」


「そこが可愛いんですよ、イザベル様は」


 後ろでなんか二人で言ってるけど、私の耳には入らなかった。

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