6話――我儘の錬金術師③
「どうかしましたか?」
「――あんた、組織って知ってる?」
単刀直入に問うと、彼女は眉根に皺を寄せる。
「なんですか、それ」
端的な問いに、端的な答え。それではまだ真意を測りかねていると、カーリーが彼女の持っていた魔法石を一つとって突き付けた。
「とぼけないでください! こんな純度の高い魔法石を何種類も作れる錬金術師がそうポンポンいるはずありません! 貴女、組織に賢者の石を渡した錬金術師でしょう!」
「え?」
とぼけた声を出すレイラちゃん。先ほどまでの雰囲気から一切変わらず、首を傾げるだけだ。
「話が見えないんですけど……そんなに凄い魔法石があるんですか? でしたら、是非とも研究したいですね」
「何をすっとぼけて!」
「いやいや、カーリー。この反応、本当に知らないんじゃないかしら」
私は警戒心を解かぬまま、取り合えずカーリーを宥める。ここでレイラちゃんが素直に言うとも思えないが、しかしすっとぼける彼女から真実を吐かせるのも容易では無い。
そんな私たちの機微を知ってか知らずか、彼女は不思議そうな顔のまま説明を求める。
「えっと、わたしはどの組織にも属してないです。錬金術師ってギルドすら無いので」
「え、ギルド無いの?」
「魔法使いも無いですよ、ギルド。入るなら冒険者ギルドです。絶対数が少なすぎて、ギルドを作れる程無いんですよね」
こっちの世界の魔法使い事情はよく知らないけれど、言われてみればサッテの町で魔法使いに出会ったことは無かった。
「ダンジョン産じゃなくて、錬金術師が作った魔法石ですか……あの、もっと話を聞きたいんですけど……」
目を輝かせ、前のめりになるレイラちゃん。ここまでくれば説明しない分けにもいかない。私は虐殺のところを伏せつつ、ジェイソンと組織について説明する。
「はー、なるほど。あっ、ということはもしかして、盗まれた賢者の石、そこにあるんですか?」
「盗まれた……って、え!? 賢者の石の精製に成功してたんですか!? はぁ!? 意味わかんないんですけど!?」
テンションあったまりっぱなしのカーリーが、今日一驚いた声をあげる。他人が自分よりテンション高いと、こっちのテンションが上がり切らないこの現象って名前あるのかしらね。
「盗まれた……ってことは、取り合えずあんたの作った物でいいの?」
「まあわたし以外に賢者の石を作れる錬金術師っていると思えませんし」
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