43話――もうすぐ夏ですね③
かなり恐縮した言葉の割に、笑顔のジージー。
たぶん、普段からきっちり訓練してるから自信があるのね。
とはいえ、突然の申し出であることは間違いないからお礼はしておくべきね。私は口をつぐみ、頭を下げる。
「いえ、こちらこそ突然の申し出で、大変申し訳ありません」
「とんでもない。むしろ団員たちも、一層気を引き締めるでしょうから」
わっはっは、と豪快に大笑いするジージー。
マングーの騎士団長は裏切り者だったから、こうやって見た目だけでも爽やかだと……少し安心するわね。
そして私は、ジージーの横に立っている男の方に視線をやる。
「それで、お隣にいらっしゃる彼はどなたですか?」
「おっと、紹介が遅れましたな。こちらは、マーク・ハルカスと言います。うちの若手の中でも一、二の腕を持つ騎士でして、是非紹介させていただきたいと思いまして」
「マークです」
ニコッと笑みを浮かべるマーク。年齢は二十代くらいかしら、身長はユウちゃんくらいで、アイドルのメンバーにいそうなくらい整った顔立ちをしている。
金髪碧眼で――顔の真ん中についた大きい傷跡が無ければ、女の子が放ってないでしょうね。
「こいつはそのうち、領地騎士団にはいられなくなってしまうほどでして。その時は第一騎士団か、第二騎士団かに行くことになります故」
ああ、そういえば領地騎士団は力を持ちすぎないように、騎士の実力のキャップがあるんだっけ。
……うちの子達は、誰も領地騎士んはなれないでしょうねぇ。
「そうなれば、もしかするとマイターサにも赴任されるやもしれません。故に機会があれば様々な人に会わせるようにしておるんですよ。わっはっは!」
豪快に笑うジージーと、恐縮するように苦笑するマーク。
「団長はどうもボクを買い被っているようでして、どこへ行くにもこうして連れ回されるんですよ」
割と本気で困ってそうな顔のマークだけど、ジージーには見えていないのか嬉しそうに彼の背を叩く。
……典型的な、おじさんと若手って感じねぇ。
「ささ、こちらでございます。見学は皆さんでされなすか?」
私たちの方を見て、首を傾げるジージー。全員行っても良いなら、全員で行かせてもらおうかしらね。
「では全員で。……あ、レイラちゃんは?」
「行きますよ。なんだか少し違和感がありますし」
違和感……?
レイラちゃんにしては、ちょっと感覚的と言うかロジカルじゃない。
……まぁでも、必要な時が来たら言語化してくれるでしょ。私は頷いて、ジージーの方を見た。
「じゃあ、お願いします」
「承知しました。ではこちらに」
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