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43話――もうすぐ夏ですね①

「これはこれは、ようこそおいでくださいました。イザベル・アザレア様とその御一行様」


 観光したい気持ちをグッと抑え――私たちは、カナリバーの屋敷にやってきていた。馬無し馬車をカナリバー家の使用人に任せ、私たちは歩いて玄関へ向かう。

 綺麗で整った庭、どこからか漂ってくる薔薇の香り……腕の良い庭師さんがいるみたいね。


(うーん……それにしても、大きい屋敷)


 流石に観光都市でありウキョートの側であることもあって、アザレア邸より二回りは大きい。

 働いている人も執事、メイド、庭師などなど……既に見えている人だけでも、倍じゃきかない。屋敷の大きさも考えると、百人くらいいるんじゃないかしら。

 そして何より目を引くのは――体育館のように大きい、ドーム型の建物。

 マングーのレギオンホース家にも無かった場所、あれは……騎士団の練習所か何かかしら。


(マングーは、別邸に騎士団の詰め所があったものね)


 一部の人間は警備のためにレギオンホース邸にいたけれど、本格的に騎士団が生活している場所は別の所にあるとガースリーが言っていた。

 しかしワナガーカは、キッチリとカナリバーの屋敷に騎士団の本部も置いているらしい。


(ワナガーカはウチやマングーと違って、議会制を採用しているし……そもそも、カナリバーの屋敷自体が生活のためのそれじゃなくて、政を行う機関としての役割が強いんでしょうね)


 民主主義とまではいかないけれど、有能な人物がいたら身分に関係なく徴用して政治を行っているんだそう。そういう意味では、カナリバー家の方が為政者としては先進的な考え方をしていると言えるかもしれない。

 まぁ……他領はともかく、アザレア家の場合は、それ以上にこの世界にあんまり無い概念を織り交ぜて政治をしているから、人を増やせないって理由もあるんだけどね。


「ただお嬢様は少々出かけておりまして、旦那様は現在会議中ですので……大変申し訳ないのですが、応接間で少々お待ちいただいてもよろしいでしょうか」


 私たちを出迎えてくれた、執事みたいな人が恐縮しながらそう言う。馬車を停める所までは別の人が案内してくれたし(馬が無いことに大層驚いていたけど)、こうして我々を案内する係の人は、雇い主が指示をしなくても仕事をこなしてくれるし。

 当たり前のように見えるすべてが……何というか、新鮮に感じる。


「問題ありませんわ。……ああ、でもよろしければ応接間ではなく、騎士団の見学をさせていただけませんこと?」


 まぁそれは置いておいて、今回の遠征の肝でもある騎士団の件を取り合えず執事さんに振ってみる。



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