42話――令嬢ストレイドッグス③
でもまぁ、面倒見てくれるならそれで良いか。私は頷いてから、頭を下げる。
「ではよろしくお願いしますわ。シャオソー様も、それでよろしいでしょうか」
「え、ええ……どの道私は選択肢はありませんし……」
ポリポリと頬を掻くシャオソー特任大使。まぁ特任大使に選ばれたと思ったら、気づいたら十年近く経ってるわ、謎の『組織』とかいう存在に命を狙われるわで、状況についていけないでしょうしねぇ。
セイムス男爵は使用人を呼ぶと、シャオソー特任大使を連れて行くように指示する。
「とりあえず彼の部屋を用意してあげてくれ。それと王都に手紙を」
「お手紙ですか、なんとお書きすれば?」
「特任大使の仕事についてだ。休むように手配せねばなるまい」
「承知しました」
流麗な仕草でお辞儀したメイドさんがシャオソー特任大使を連れて出ていく。
残された私も、そろそろ出るかーーと思ってドアの方を見ると、セイムス男爵は重々しく口を開いた。
「強いからか?」
「はい?」
「自由過ぎる。なんだ、私を蹴飛ばしたかと思ったらその日の晩に特任大使の館に行って洗脳を解いたって……なんなんだ、キミは。昔はそんな子じゃなかっただろう?」
自由過ぎる、って……いや、うーん……これでも制約多いんだけどね。
そして、中身に関しては……うん、別人です。でもそれを言っても信じて貰えないから言わないけど。
私はニコッと笑みを浮かべてから、ちゃんとスカートをつまんで頭を下げた。
「なんなんだと申されましても……イザベル・アザレア。マイターサの領主ですわ」
「……そうか。何にせよ、頼りにしているから……彼が狙われたら頼むぞ」
苦笑しつつ、ひらひらと手を振るセイムス男爵。そしてすっと扉を示した。
「今日はワナガーカまで行くんだろう? 気をつけてな」
「ありがとうございます」
私はお礼を言ってから扉を出る。
よし、これでウキョートの拠点は減らなかった。良かった良かった。
▲▽▲▽▲▽
「しかしまぁ、情報が少し増えたのは良かったですね」
ガラガラと馬車に乗りながら、ぬるーんとした表情でそんな事を言うカーリー。
……いやなんでアンタ、馬車の中でパックなんてしてるのよ。
「わたくしがさせましたわ! さ、ベラさん。貴女もですわよ」
そう言って、ぬっとパックを持って私に向けてくるシアン。なるほどアンタが犯人か。
「なんでそんな事をしてるのよ」
「寝不足は肌の大敵ですわ! というわけで、ちゃんと馬車の中でパックしながら寝ることを推奨しますわ」
なるほど……なるほど?
まぁでもパックするくらいならいいか……。
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