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5話――懐悪・悪折⑥

「ってことは組織には凄腕の錬金術師がいる、と。それでそいつのせいでヤクザが力を伸ばしてるわけね」


「どっちかっていうと、姐さんが領地騎士団を無くしたから親父たちみたいなクズが力を伸ばして、その金で組織が伸びてる感じっすよ」


 それは私じゃなくてイザベル(真)の罪だ。こっちに糾弾されても困る。

 ……と言いたいところだけど、責任の所在を明確化しても、その罪を償える人間はこの場にいない。であれば、私が彼女の分も働かねばならないのだ。


「うーん、単純に壊滅させたいなら場所を見つけて乗り込めばいいんでしょうけど、ジェイソンみたいなのがあと十二人もいると思ったらキモくないですか?」


 キモいわね。

 キモいし、面倒よ。


「極力関わり合いになりたくないけど、この街で金を儲けようってんなら先に対処しないといけなそうねぇ」


「まぁ平行してやっていけばいいんじゃないですか? だって今、解決したのってカムカム商会の借金だけですし」


「うぐぐぐ……そうなのよね」


 金を稼がないと話にならない。四日後に税金は入ってくるけれど、それらは治水の金で吹っ飛ぶ。

 他の借金もどうにかやりくりしつつ返さないと……。


「でも取り合えず、カムカム商会は乗っ取れるし。ここを起点にして金融会社を作るわよ」


「え、本気なんですかそれ」


「当たり前じゃない」


 金を儲けるには、商品を仕入れて売る必要がある。

 この世で最も原価が安いのは金だ。ならば、金を売るのが一番手っ取り早い。


「この国にはローン会社って概念が無い。まずはローン会社と個人向けの消費者金融、そこから銀行を作って――商会ギルドと提携するわよ」


「でも金はどっから引っ張ってくるんすか? 親父が頼りにしてた金主は、頭がイザベル様にすり替わったと分かれば即座に手ぇ引きますよ?」


 流石にオルカの仕事を手伝ってたことだけのことはある。金主とかの概念を理解しているなんてね。

 フィンテックなんて概念無いし、やり取りは現金だ。つまり大量の現金を右から左に出来る奴と協力する必要がある。


「それ以外の金の出どころもあるんでしょうけど、オレが知ってるのは金貸しだけっすからね。取り立てと勘定ばっかしてたんで」


「金勘定出来るならそれで十二分。私はある程度財務出来るけど、会計は微妙なラインだし」


 出来なくはないけれど、本職にはかなわない。実務経験がある人にやってもらう方が良い。


「ボクお金のことは分からないですからねー」


 ほのぼのとした声を出すカーリー。あんたには別のことで活躍してもらうわよ。


「あ、あとは娼館街の一部もオレは管理してたんで……そっちを合法な奴にするのが手っ取り早いかもっす」


「ん、いいわねマリン!」


 それは良い。

 ゆくゆくは娼館街にも手を入れて、全部国営化……ならぬ領営化してしまおう。取り締まると、どんどんアングラになっちゃうからね。

 合法にして、値段ごとにランクを付けて……ってすれば、多少は裏に潜るのを抑えられるでしょう。

 ゼロには出来ないけれど、努力で無くすことは出来る。


「さて、それじゃあ帰りましょうか。マリン、あんたは今日からうちで働くのよ」


「はい! 弟子入りを許していただいて、ありがとうございます!」


 素直に礼を言えるいい子ね。

 私が彼にどんな服を着せてやろうか悩んでいると、カーリーが呟く。


「あれ? 働かせるならそれは弟子じゃなくて雇用じゃ……」


「気づいちゃいけないわよカーリー」


 上手く騙して仲間にしたんだから言っちゃ駄目でしょ!

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