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38話――からかい上手のイザベル様④

 それは中々有能な人間ね。でも、理由もなく……というのは少し怖い。


「本当にわからないの?」


「ええ、わたくしが会いに行ったら急にその話を推し進めだしましたわ」


「アンタって姪っ子ってわけじゃないし……となると、領地?」


 恩を売っておいて、自分のところの息子をイザベルに婿入させてマータイサの実権を握る……辺りが無難な考えかしら。

 好意的に考えるなら……シアンやカーリーから聞く限り、アザレア家の人は割とほんわかして危機感が足りてない感じがあるから、自分がアドバイスできる立場に立つことで領地経営をしっかりさせるとか。


「ドールトン男爵家には男の子がいないはずだよ。だから二人目の奥さんを貰うかどうかしないとってことで騒ぎになっていたはず」


 ユウちゃんが解説してくれる。相変わらずいろいろと詳しいわねぇこの子。

 ただそれなら、ほしいのは息子の相手じゃなくて自分の相手ってことになるわね。


「……もしかして、アンタ二人目として見初められてたんじゃないの?」


「何を言っておりますの? わたくしがいくら美人とはいえ、あの頃はまだ十三ですわよ」


 やれやれとばかりに首を振るシアンだけど、世の中には度し難いやつっているからねぇ。

 というかこの前、ガーワンが十六歳の体狙ってきたし。


「青田刈りってのも少し違うかもしれませんがねー。なんにせよ、下心がないならそれはそれで不気味ですよ」


「でもそんなロリコン貴族なら、なんか情報出てそうッスけどね」


「流石に叔父様がそんな人とは……」


 うむむと考える仕草をするシアン。まぁ彼女のこの様子を見るに、セイムス男爵は真っ当な人と思うほうが良さそうね。

 ロリコンなのかどうかは、会ってみれば分かる。どうせ一日しか滞在しないのだし、仮に布団に潜り込んできたら絶好の脅しの材料ゲットよ。


「まぁでも、シアンさんと気が合うなら……使用人に対しては冷たく当たりそうですね」


「か、カーリー……そんなこと言わないでくださいまし。まぁでも、その辺は普通の貴族ですわ」


 普通ってことは、まぁ使用人は使用人として扱うだけって感じね。特別虐げることも、特別取り立てることもない。まぁ私とは価値観合わないでしょうけど……さして気にするほどでも無いわね。

 なんて会話しながら進んでいると、木々が多くなってきた。そろそろセイムス男爵の自治地――


「と、止まってくだせぇ!」


「――あら?」


 何故か自動馬無馬車の前に飛び出てくるのは、小汚いおっさん。

 必死な形相で、馬無し馬車に縋り付いてくる。

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