37話――ふしぎ友誼⑦
「カーリーにも話していませんのに……」
カーリーの方を見るシアン。彼女はアニメ勢だから、このシーンは知らないでしょうね。
この会話があるルートは、イザベルが暴れずに失脚するルートだけ。つまりゲームでも数少ないルートのみ。
転生組でも、私とレイラちゃんしか知らないわ。
「もちろんコレが決定的な証拠になるとは思ってないけど、少しは信用する? 他にも色々あるわよ」
暗に「お前の恥ずかしい秘密をバラすぞ」と言ってみると、シアンは物凄い不安そうな顔になりながらも頷いてくれた。
良かった良かった、直近にわかりやすいイベントが無いから預言しづらかったのよね。
「でも、その預言書を指針にする時は裏取りはしっかりしてくださいな」
「アンタに言われなくてもやるわよ。そもそも、アンタと私が入れ替わってる時点で明確に歴史が変わってるんだから」
原作だと、イザベルには優秀な老執事が一人だった。でも今の私の回りには、優秀な可愛い子たちがたくさん。
既に前提が色々と違ってるんだから、それのみを頼りに動くなんてしないわ。
「でも女騎士団ですか……少し妙ですわね。あの子はイケメン好きでしたから、てっきり近衛はイケメンで固めているモノだと思っていましたわ」
「そうなの?」
言われてみれば、原作でも面食いだった気がする。まぁでもその辺は、やっぱり女の子同士のほうが気楽とかそういうのがあったりすんじゃないかしら。
「少なくとも執事は若くてイケメンしか置いてませんでしたわ」
「恐らく両親がつけたんじゃないかな? 一人娘を守るためにね。長期の旅行なんかだったら、ある程度数を揃えて置いておかないと見栄えも悪い」
「あの我儘なジーナがそれを聞くでしょうか」
アンタが言うなのオンパレードだけど……うーん、やっぱり私の知ってるジーナ像とだいぶ乖離があるわね。
まさか転生者が中に入っているとか……かしら?
「なんにせよ、それならあっさり譲って貰えるかもしれないわね」
「ポジティブですね、イザベル様。……言っておきますけど、ワナガーカに行くのは本当に騎士団の勧誘だけなんですよね? ジーナさんを口説こうだなんて思ってませんよね?」
ジト目を向けてくるカーリー。なんでここまで信用が無いのかしら。
「大丈夫よ。マティルダさんだって口説かなかったんだし、ちゃんと公私の分別はつけるわ」
向こうが勝手に着いてきたがらない限りは、この家に入れたりしてないし私は。
自信満々に胸を張ると、カーリーは唇を尖らせた。
「ならいいですけど。別にボクは嫉妬しませんけど、ユウさんが嫉妬しますからね!」
「いきなり僕に飛び火したね。でも女神、あんまり女の子を増やさないようにね? キミがかまえる人数までだよ」
「分かってるわよ」
笑顔を見せて、私はカーリーとユウちゃんを撫でる。
商会とグループ化して、騎士団も手に入りそう。
後は他の商会とのバトルね。
「マータイサの制圧ももう少しよ」




