表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

263/312

37話――ふしぎ友誼①

「だーかーらー! ボクは別に困ってないんですってば!」


「ダメですわカーリー! そんなに足を出す格好ばかりして! まだそんな年齢じゃありませんわ! ほら、こっちの格好の方が可愛いですわよ!」


「いーやーでーすー! こっちのほうがイザベル様が見てくれるんですよ!」


「知りませんわ! あと貴女、また昨日の夜はお腹を出して寝ていたでしょう! ちゃんとタオルケットはかけなさいとアレほど……!」


「しーりーまーせーんー!」


 さて、シアンが我が家に住み着くようになってはや三日くらい。今日も今日とて、屋敷から彼女らが仲良く走り回る音が聞こえてくる。


「しかしまぁ、シアンはお母さんみたいね」


 我が家のお母さんといえばカーリーだったのだけど、あの日からとにかくシアンがカーリーのお世話を焼く。

 特に服装に関しては本職のこともあり、一家言あるようで……彼女がローブ姿のみで過ごそうとすると、TPOに合った格好をさせようとする。


「今までカーリーちゃんが僕らのお世話を焼いてくれていたからね。彼女にも色々あったし、あんな風に口うるさく言われるのは初めての経験なんじゃないかな」


 微笑ましいものを見るような目になるユウちゃん。まぁ確かに、ネグレクトされてたっぽいし……あんなお母さん的なからまれ方したことないのかもね。


「捕まえましたわぁあぁぁあ!! さぁ、昨日も言った通り髪の洗い方からですわ!」


「ぎゃあああ! 悪霊退散、悪霊退散!」


「誰が悪霊ですの!」


 カーリーは捕まったらしい。昨日はフォークの持ち方でやいやい言われていたけれど、今日は髪の洗い方なのね。

 ……というか、カーリーから習ってたテーブルマナー、今になって不安になってきたわ。大丈夫かしら。


「カーリーちゃんのテーブルマナーは間違ってなかったよ。ただ全部あれは貴族のマナーだからね。使用人や普通の女の子のマナーとは少し違う」


「あら、やっぱり差があるものなのね」


「些細なことではあるけどね。……でも女神、いいのかい?」


「何がよ」


 ニコニコと、少しだけイタズラっぽい笑みを浮かべて……私の後ろから、おっぱいを押し付けるようにして抱きついてくる。


「いや、カーリーちゃんが困ってるんじゃないかと思って、さ。止めなくていいのかい?」


「別に良いわよ。ユウちゃんだって、わかってるんでしょ」


 カーリーは指を鳴らすだけで、物と物の位置を入れ替える魔法を使える。それを使えばシアンを飛ばすことも、自分が逃げることも思いのままだ。

 アレだけ騒いで逃げたり出来る彼女が、今更シアンに萎縮しているとも考えられない。

 つまり――


「ま、許しはしてないんだろうけどね」


「そうだね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ