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番外編 後編 無敵の笑顔③

「うえええええああああああああああ!!!」


「ちょっと急ぐから、ごめんね」


 お店の女の子に差し入れをするって約束してたし、そのついでに服を借りましょう。

 私はイルーナをお姫様抱っこして夜の空を走る。


「それにしても、差し入れなににしましょうかしらね〜。お酒渡すと飲んじゃうから、やっぱお菓子よね」


「えっ、えっ?」


 イルーナは困惑しながら、私の体にしがみついている。

 ガクガク震えているけれど……まぁ普通の生活をしてたら、お姫様抱っこされながら夜空を駆け抜けたりしないものね。

 なんて思いつつ、夜までやってるお店を発見。私はイルーナを抱きかかえたまま、お店の前に降り立つ。


「わぁぁああぁぁあぁ……」


「よっと、大丈夫?」


「な、なんとか……?」


 目を回しているイルーナの頭をなでつつ、差し入れのお菓子を買う。今日はなんかポテトフライみたいなものを取り敢えず買ってみた。

 ロータスちゃんは胃もたれするって言いそうだけど、まぁよし。人数分買って、私はお店を出る。


「それじゃあ行きましょ」


「えっと、さっきからどこへ向かってわぁあぁぁぁああああああああ!!」


 この体だとひとっ飛びで大分先まで進めるのが本当にありがたい。

 というわけで二、三飛びで目的のお店、『アジカン』にたどり着いたのでまた天板を無理矢理開けて、部屋の中へ入る。


「お邪魔するわよー」


「姐さん、邪魔するなら帰ってくれ」


 店長のカインは、またもうんざりした様子で肩を落とすーーが、私が抱えている女の子を見ると興味深そうに目を開いた。


「新しく入れるのか?」


「望むなら。望まないなら昼の仕事させるわ」


「そうか。……お嬢ちゃん、何があったか知らんが災難だったんだろう。そっちの部屋に嬢の着替えがある、テキトーなのを着てくれ」


 慣れたもので、すぐにイルーナを案内してくれるカイン。イルーナは徹頭徹尾何が起きてるのか分からない様子でキョトンとしっぱなしだけど、取り敢えず隣の部屋に押し込む。

 目を白黒させているイルーナにあんまり派手じゃない服を着せ、鏡の前に立たせた。


「髪とかセットする?」


「えっと……べ、別にいい」


「そ? じゃ、今から飲みに行きましょ。いいバーがあるのよ」


「え、え」


 私はイルーナの手を取って部屋から出る。カインにハンドサインで出ていくことを伝えると、彼はなにも言わずに手を振った。

 お店の子達は好きだけど、今絡んじゃうとバーに行く時間が遅くなっちゃうからね。


「そういえばアンタ、食べれないモンとかある?」


「と、特にない」


「良かった。今から行くお店、お酒も美味しいけどオツマミも美味しいから」


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