表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

25/312

5話――懐悪・悪折②

「ってわけで、やり過ぎたらこうするわよ。分かった?」


 部屋を出た私は……後ろから付いてきているマリンにそう声をかける。

 オルカは必死過ぎて気づいていなかったようだが、マリンは隣でさっきの光景を見ていた。

 あの地獄を。


「下のアレは知らなかったみたいだし、私を助けてくれようとしたから今回は見逃すわ」


 マリンは黙ったまま何も反応しない。かなりビビっているようだ。

 やった本人である私ですら、怒りに任せてほんの少しやりすぎたかと思っているのだ。端で見ていた彼はさぞショックが大きいだろう。


「ったく、酷いモン見せられたわ」


 私はそう吐き捨てて階段を上がる。するとそこには、優雅にお茶を飲むカーリーの姿があった。


「お疲れ様です、イザベル様」


 お茶菓子まで用意してまったりモードだ。彼女のそんな呑気な姿を見て、私はちょっと力が抜ける。


「女の子たちは?」


 私が尋ねると、カーリーはクッキーを食べながら(箱の感じからしてかなりの高級品ね)、上の階を指さした。


「上で寝かせてます。彼女たちはどうするつもりなんですか?」


「……まぁ、うちで預かるしか無いかしらね」


 ため息をつく。

 この世界の常識では、麻薬依存症治療の概念は無い。医者も金にならない患者なんて気にしないし、そもそもメソッドも無いだろう。

 普通の病気や怪我に対する治療は、魔法がある分前の世界よりも優秀だけどね。


「そんなお金無いですよ?」


「そこはどうにかするわよ。部屋は余ってるし」

 

 アザレア邸にはそれなりに大きい部屋がいくつかあるし、本来なら使用人が住み込みする部屋も空いてる。三十人程度だし、なんとかなるだろう。

 カーリーは「了解です〜」と言って残りの紅茶を飲み干した。

 そして立ち上がり、首を傾げる。


「そういえばボクに先に戻れって……何してたんですか?」


 無邪気な目で問うてくるカーリー。私は一瞬だけ迷ってから、笑顔で首を振った。


「なんでもないわ」


 いくら転生者とはいえ、カーリーはまだ子供。あんな光景を見せた後に意味は無いかもしれないが、それでもやはりさっきの地獄を見せることは躊躇われた。


(彼女のことだし、気にしないだろうけど)


 この辺は私のわがままだ。


「あの……」


 ずっと押し黙っていたマリンが、背後から話しかけてきた。

 私が振り向くとーー彼は、一瞬にして地面に両手と頭をこすりつけた。

 端的に言うと、ジャンピング土下座である。


「イザベル様……いや、イザベル姐さん! オレを、オレを弟子にしてください!!」


「はぁ!?」


 唐突な発言に私が素っ頓狂な声をあげると、マリンはうっとりした表情で私の手を握った。

「面白い!」、「続きを読みたい!」などと思った方は、是非ブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします!

していただいたら作者のモチベーションも上がりますので、更新が速くなるかもしれません!

是非よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ