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34話――銀欲の悪役令嬢⑦

 私の言葉に、ポンと手を打つカーリー。


「なるほど、本当に全部の商会の長を集めた合議制だと、何れ銀行や騎士団が出来た時はイザベル様側の権力が強くなる可能性がありますが……」


「そう。この券の数をここで均等にしておけば、どっちがどれだけ手下を増やしても権力構造が変わらないってこと」


 例えば、私が仮に三つ程商会を下部に作ったとする。そしてその商会長達に株券を一枚ずつ渡したら、私の権利はその分だけ減る。

 でも部下なら、権力が分散してないのでは? って思うかもしれないけれど、部下だからって全員が私の言うことを聞くとは限らないからね。

 私が発言権を残したままにしたければ、下部商会の長に渡す権利は少なくしなければならない。


「私が積極的に商会を増やしたいと言っている今なら、この提案は魅力的でしょう?」


「実際は細かい部分はもっともっと詰める必要があるでしょうが……確かに、現段階で我々が感じている懸念は解消されますね」


 モナークさんがにこにこと笑いながら、マティルダさんの方を見る。

 彼女は軽くため息をつくと、頷いた。


「その通りですね。……ただもう一つ、懸念事項はあります」


「何かしら」


 若返ったマティルダさんは、おっぱいを支えるように腕を組んだ。そして足を組み替えて、少しだけムッとしたような表情になる。


「騎士団も持たぬ方々が、我が商会を守る――なんて出来るはずが無いじゃないですか。素晴らしい錬金術師がいることは理解しています、魔法使いも。しかし、たった数人で何が出来るんですか?」


「あら」


 にやぁーっと笑ってしまう。そうそう、そういうのを待ってたのよ。

 全部蹴っ飛ばして解決出来る、力の見せどころを。


「なら見せてあげるわ、さっきとっ捕まえたチンピラの元締めをぶっ飛ばしに行くわよ!」


「……結局こうなるんですねぇ」


「まぁ分かっていましたけどね」


 のんびりした声を出すカーリーと、やれやれと言わんばかりに首を振るレイラちゃん。でも二人とも、手首をフリフリちょっと準備運動をしている。

 長い時間座ってて、肩がこっちゃったもんねぇ。


「ちょっ……いやさっきの実力を見ましたから、一対一とかなら大丈夫なのは分かりますけれど……そんな潰すなんて大口を叩いて大丈夫なんですの?」


 ちょっと心配そうに言うシアン。そんな彼女に、私は堂々と胸を張って笑いかけた。


「安心なさい。私達、最強だから」


 こくんと頷くカーリーとレイラちゃん。そうと決まれば善は急げ、私は立ち上がって応接室の窓を開けた。


「それじゃあ、行ってくるから追いかけて来てね」


「ちょっ、イザベル様ぁ!?」


 窓から飛び降りて、私は自由落下する。

 さぁて、やっと暴れられるわねぇ。

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