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34話――銀欲の悪役令嬢⑥

「なるほど、管理部門以外を全部切り離して独立させるわけですな」


 マティルダさんはイマイチ納得していないようだが、モナークさんはふむふむと頷いてくれる。

 これなら最後の案も、聞いてもらえそう。


「イエス、話が早いわね。ただ運営上の問題として……誰がどれくらいの発言力があるのかは決めないといけないじゃない?」


「そうですね。商会長が飾りなるのでは意味がありませんし……各社ごとの代表を出して合議制にするのが最も簡単でしょうか」


 マティルダさんは眉に皺を寄せながら言う。やっぱり誰がトップになるのか、というのはとても気にしているようね。

 私はニヤッと笑って、懐からとある紙を取り出す。


「なんですの、それ」


「株券。端的に言えば会社の権利よ」


 グループ会社化して、管理と実働を分離した後は……その管理部分はこの株券の有無で権利を確認する。

 実際はもっと別の――それこそ、銀行を生み出した方の理由ではあるけど、取り敢えずこの概念で彼らとは公平性を保てると思うのよね。


「どっちが上、を作らないために……これをラピスラズリ商会と、カムカム商会で同量持っておくの。そして意見が対立したら、人数じゃなくてこれの枚数で決定するのよ。過半数が取れなければ、意見は無効」


「なんの意味がありますの、それ。人数で決めるのと変わらないんじゃありませんkとお?」


 シアンが首を傾げるが、マティルダさんとモナークさんはなるほどとばかりに頷いた。話が早くて助かるわ。

 ……でもカーリーとシアンは何のこっちゃという顔をしているから、説明する必要があるわね。


「シアンの指摘ももっともね。でもちょっと考えて欲しいんだけど、商会としての人数はそっちが多いわよね?」


 三桁単位で社員を抱えているのは、ラピスラズリ商会。一方、カムカム商会は(娼婦をやってる子を除けば)三桁はまるで届かない程度。

 一方、イニシアティブを持っているのは私。銀行が軌道に乗れば、いずれはラピスラズリ商会を越える資金になる。


「だから、私達は互いに人数でも資金力でも差が付かない公平な物差しが必要なのよ」


「……なるほど、つまり十人で十枚持っていても、五人で十枚持っていても権利は同じ……そういう約定を取り付けたいということですのね? そのうえで合議制、と」


「概ねそうなるわね。ただこのシステムなら、どれだけ商会を増やしても私たちの権力は変わらないのよ」

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