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34話――銀欲の悪役令嬢④

 しかしこの寄付金が問題になる。

 寄付金で運営されるということは、それを出している商会はスポンサーということ。

 スポンサーの意向は、無視できなくなる。


「だから今の……マータイサの商会ギルドは、三つの商会が完全に牛耳っている。そしてどの商会も、自分たちが一番になろうとしてるのよ」


「三つ巴……ってやつですか。漫画みたいですね」


 呑気な感想を言うカーリー。漫画ならもう少しドラマティックに対立してたんでしょうね。

 現実では、シンプルにどこがお金をだすか……と、商会ギルド内にどれだけ影響力のある商会を加入させるかという話。


「カムカム商会みたいに、メインが裏の商会は……繋がると後で厄介だったから、特に勧誘とかはなかったんでしょうね。でも表をメインにやってる商会は、いつだって油断ならない。なんなら、私達が三つのメインの商会からの使者って可能性もある」


「えっ、そうなんですの?」


「いや違うけどね?」


 まぁでもその可能性があるから、彼女らは慎重にならざるを得ない。業務提携をほとんどしていないのも、その証左だろう。

 さっきの割賦販売……要するにローンの話に、食いつかないのもそのためだ。


「商会ギルドに入れば、嫌でもそういった大きい商会の顔色をうかがいながら商売しなくちゃならなくなる。……マータイサは、他の領地と比べて商売に対する領法がゆるいからね」


 別の領地では、もう少し商会ギルドに締め付けや領主からの口出しがあるけど、マータイサにはそれが無い。

 そのため、三つの商会が天下を取ったとばかりに暴れてる。


「この三つの商会が、マータイサの商売の停滞を招いている。……表で仕事をする商会は、皆ここの顔色を伺うからね」


「ああ、だから我が商会はギルドに所属していないんですのね」


「まぁ、その通りです。……先代は彼女に何も教えてないんですね」


 大きくため息をつくマティルダさん。

 でもシアンをスカウトした時の感じからして、あまり余計なことを言わずにただものを作ってて欲しかったんじゃないかしら。


「マータイサで四番目に大きい商会は、ギルドに入ってる。だから、五番目の規模まで伸びてきたラピスラズリ商会に目をつけたんでしょうね」


 そしてあのチンピラみたいなのをけしかけて、嫌がらせをしてると。

 味方に引き入れられないなら、足を引っ張るなんて阿呆の極みよ。


「商会ギルドの中で、その三つの商会が争ってる。だからこそまだ、表向きは平穏が保たれてるのよ」

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