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34話――銀欲の悪役令嬢③

「もちろんよ。銀行と騎士団を作るから、そのためのグループ会社作りましょう? 相互扶助ではなく、相互に利益を生み出すために」


 そう言って、間髪入れず銀行の説明を行う。既にマータイサの端っこでやっている信金の話も交えて。

 今までカーリーとレイラちゃんは、何回も聞いている話。元の世界にあった組織だから、そんなものだろうという雰囲気だ。

 一方、これを初めて聞いた、この世界の商会を運営する人たちは……。


「……これってつまり、商会ギルドを作るって話ですよね?」


「ちょっと違うけど、概ねそうよ」


「つ、つまり……あの商会たちに喧嘩を売るということなのですね……?」


 色々と察した二人は、うわぁとでも言わんばかりの顔になる。

 一方、良くわかってない顔のシアンはおろおろと私達の顔を見てから……バン! と机を叩いた。


「わ、わたくしにも分かるように説明してくださいまし!! なんで皆さんだけで理解してるんですの!!」


 おお、分からないことをちゃんと聞けるのは偉いわね。後で頭を撫でてあげましょうか。

 なんて思いつつ、私はこくんと頷いた。


「んじゃまぁ、最初から説明しましょう。まず、ラピスラズリ商会は商会ギルドに所属していない」


「それくらい知っていますわ。自分の商会ですもの」


 偉い。


「商会ギルドに所属することによるメリットは、大きく分けて三つ。一つ目は融資を受けられること」


 人間が血液が足りなくなると生きていけなくなるように、商会はお金がないと動けない。

 商品を仕入れるのにも、お金がいる。お店を出すにもお金はいる、人を雇うのにもお金がいる。

 何をするにもお金が煎るが……常に手元に現金があるとは限らない。

 そういう時は、お金を借りてどうにかする。それが融資。


「そして掛取引や手形取引も出来るようになる。ギルドを通じて人を雇えるし、販路を拡大することも出来る。メリットは大きいわ」


 だったらなんで、ラピスラズリ商会はギルドに入ってないのか。

 答えは一つ、デメリットが大きいから。


「シアン、さっき言った融資や掛取引のお金はどこから出てると思う?」


 私の問いに、キョトンとした顔になるシアン。しかしすぐに咳払いすると、口を開いた。


「そりゃ……商会ギルドのお金から……あ、そのお金の出所ということですの?」


「そうよ。商会ギルドは、一定以上の規模になると寄付する義務が発生するの。商会ギルドは非営利組織だから、運営費は寄付金で賄うしか無いからね」

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