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4話――暴れん坊悪役令嬢⑦

「きょ、協力しましょう! わ、私は金も人脈もあります! それを失わせるのは、貴方にとっても痛手なはずです! ここで私を殺しても、貴方には何の得も無いはずだ」


「いや借金を踏み倒せるし悪くは無いと思うわ」


「いえいえいえ! 他の、もっと様々な事業をやっていますから! クスリ、奴隷、売春、娼館だけじゃありませんとも! 清掃業とか運営しているんですよ!?」


 清掃業(意味深)とか誰が頼みたいのかしら。

 私はそれでも笑顔のまま、オルカの胸倉をつかんで持ち上げる。


「あんた、なんで今から私に殺されるか分かる? 小物過ぎるからなのよ」


 殺される――というワードに体を震わせるオルカ。その目はまるで子犬のように怯え切っている。


「やってることは外道で下衆で畜生以下のくせに、目的はお金だけ。出してきた奥の手は筋肉ダルマと脱出用の煙。全部全部、噛ませ犬以外の何物でも無い。要するに格下なわけ」


 私の言っていることが理解出来ないのだろう。オルカは困惑した表情で愛想笑いを浮かべる。そんな彼を壁に叩きつけると、私は怒鳴りつけた。


「そんなクズのために! 私の可愛い民が……可愛い女の子が! 生きながら地獄に叩き込まれた!」


 ウインの拳が太った腹に叩き込まれる。続いてのパンチで壁に完全にめり込んだ。

 今度は私の蹴りを心臓に。片足で立ったまま追撃を顔面に!

 私とウインでほとんど同時に、パンチとキックをぶちかます!!!


「彼女らはこれからクスリを抜くのにどれだけかかると思う!? お金も、時間も! やりたかったことも何も出来ない! 生きている方が辛い! そんな環境を生み出したのよあんたは!」


 生かしておけない。

 生きていてはいけない。

 閻魔様の生み出した地獄以上の地獄を作る奴は。

 私がもっとえげつない地獄に叩き込んでやる!!!


「地獄の底の底で! 今までの人生を悔い改めなさい!」


「ひいいいいいいいいいいい!!!!!」


 左右の拳と私の足。それらが人智を越えるスピードでオルカの全身に突き刺さる。後ろが壁のせいで吹っ飛ぶことすらできないオルカは、泣くことも許されずその全てを自らの身で受けることとなった。


「ヤッダァバアアァアアアアア!!!」


 断末魔を上げ、顔面から倒れ伏すオルカ。それを見たジェイソンは泡を吹いて倒れた。完全に戦闘不能ね。

 静まり返る室内。私はウインの姿を元に戻すと、髪をかきあげて悪い笑みを浮かべた。


「これが格の違いよ。わかったかしら?」


 消えぬ傷を脳に刻み込み、私はカーリーを連れて部屋を出ていくのであった。


「こ、これがオラオラのラッシュ……!」


 それを言っちゃダメでしょカーリー!

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[一言] オラオラというか無駄無駄というか。
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