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33話――見た目は令嬢、頭脳は悪役①

 しかしレイラちゃんのその宣言に……マティルダさんはこらえきれないとばかりにケラケラと笑い出した。


「言うに事欠いて『賢者の石』ですか!? 持つ者に不死を与えるなどという神話の伝説! そんな物が本当に出来ていたら、この世の問題の大部分がとっくに解決していますよ!」


「実態は、錬金術を極めた錬金術師が生涯に一度きり製法を編み出せると言われている……文字通り魔法の石です。そして私の『賢者の石』は、『どんな賢者の石にでも成る』石です。……というわけで、そっちのおじさん」


 いきなり話を振られたモナークさんがキョトンとすると、レイラちゃんはジロット睨みながら彼に『賢者の石』を差し出す。


「なんでも良いので、欲しい『魔法石』を想像してみてください。叶えられることの上限はありますが、それに近い効果を得られるはずです。『人を生き返らせる魔法石』を願ったら、『致命傷でも治癒出来る魔法石』に成る感じですね」


 レイラちゃんから『賢者の石』を受け取ったモナークさんは少し考えるような仕草をした後に口を開いた。


「は、はぁ……では……あー、そうですね。純金が出る魔法石なんてどうでしょうか」


 そう彼が呟いた瞬間、彼の持つ『賢者の石』が金色に変わる。そしてカチャーン……と、小指の爪ほどの大きさの純金がテーブルの上に落ちた。


「「「は?」」」


 シアン、マティルダさん、モナークさんが一斉にあんぐりと口を開ける。そしてレイラちゃんは更に二個も、『賢者の石』を取り出した。


「ではお二人にもプレゼントです。……あ、言っておきますけど『賢者の石』で出した物を売って儲けるとかはダメですよ」


 以前にレイラちゃんが「魔力を帯びた金属、じゃなくて魔力そのもの何で見る人が見たらバレます。魔力そのものの物質って、消えない保証が無いので……買い取る側にもリスクがあるんですよ」とのこと。

 錬金術以外にも、魔力でそういう物質を生み出す方法はあるらしい。ただ一番効率的で省エネで、無茶苦茶難しいのが錬金術ってだけなんだそう。

 さて、唖然としている三人組。真っ先に動いたのはシアンで、『賢者の石』を掴んでから思いっきり叫んだ。


「ひ、人の精神を入れ替える魔法石!」


(あ、まだ諦めて無かったんだ)


 私がそう思うよりも早く、彼女の手の中の魔法石の色が変わる。藍色と紫色が混じったような、妙だけど綺麗な色。

 即座に彼女はそれを使い……そして、なにも起こらずに首を傾げた。


「……な、何で何も起きませんの!?」


「あ、あの会長……どうなされたんですか?」


 不思議そうにマティルダさんが聞くが、シアンが答えるよりも早くレイラちゃんが口を開く。


「人間と魔道具を合体させる魔法石が作れるくらいですから、出来るかもと思ってましたがなるほど。やっぱり錬金術で定義出来ない分野には干渉出来ないんですね」


「ど、どういうことなんですの!?」


 一人納得するレイラちゃんに食いつくシアン。身を乗り出して顔を近づけて来たシアンが鬱陶しかったのか、レイラちゃんはグイっと手で押し退けた。

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