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31話――ショウカイを思案せよ!②

「入れ替わってすぐ、わたくしは隣の家のおばさんから服飾について習いましたわ」


「ああ、確かに上手だったものねあの人」


 よくお世話になったものだ。私はあんまりお裁縫が得意じゃなかったから、ほつれた服なんかは全部直して貰っていた。


「そうこうしていたら、あの村にわたくしをスカウトしてくださった、オズワルドさんか来たんですの」


 なんとなく聞き覚えがある……と思っていたら、カーリーが呟く。


「ラピスラズリ商会の先代の商会長ですね」


「アンタ、商会長から直接スカウトされたの?」


「そうですわ! このわたくしのデザインセンスとイノベーションにコンセンサスしたんですわ!」


 イノベーションは技術革新。

 コンセンサスは意見の一致、あるいは合意。

 イノベーションはギリわからなくも無いけど、コンセンサスは言いたかっただけでしょ。

 取り敢えずこの子が横文字を使いたいことだけは分かったわ。


「それで柔術を習う傍ら、新作のデザインや新製品のアイデア出しなんかを行っていたんですが……つい先日、オズワルドさんのお父さんがご病気になられたらしくって」


 お父さん存命だったのね、オズワルドさん。勝手にしわくちゃなおじいさんを想像してたわ。

 なんて失礼なことは心に留め、イザベル(真)の話の続きを聞く。


「それで急遽次代の会長を決めることになったんですが、オズワルドさんが選んだのはわたくしでしたの!」


「なんでそうなるのよ」


 こいつに人事権とか渡したら、大変なことになるのは目に見えてると思うんだけど。

 私の疑問に、イザベル(真)は「良い質問ですわね」とでも言わんばかりに頷く。普通にムカつくわね。


「当然、わたくしの魅力と政治力ですわぁー!」


「ぶっちゃけやがったわね」


 でもそういえば、こいつは原作からして顔の良さと猫かぶりの上手さと政治力で応じの婚約者の座を奪い取ったんだったわ。

 商会長を籠絡するくらい分けないわね。


「まぁ、それだけではありませんが」


「そうなの?」


「ええ。わたくしは商品のデザインや、新商品の開発などを担当していたのですが……一部の方の反発がありまして。それでいっそ商会長に据えれば皆文句は言わないだろうと」


「無茶苦茶ねぇ……」


 適材適所という言葉もあるように、人間は自分の適性に合わせて働くべきだ。

 こいつは……まぁ、デザイナーとしては有能なんでしょうけど、あの領地経営をしてたこの子に商会長が務まると思えない。


「おーほほほ! わたくしの才能が怖いですわ!!」


「なんで野垂れ死なないんですかね、この人……」


「憎まれっ子世に憚るって言うでしょ?」


 高笑いするイザベル(真)に、イラッとした様子のカーリー。この態度は、カーリーじゃなくても腹立つわね。

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