4話――暴れん坊悪役令嬢⑤
「うぎゃいあああああ!!!」
一瞬前までまで余裕綽々だったジェイソンが悲鳴をあげる。大の男が情けないわねーーと言いたいところだけど、肩から腕を切り落とされればこうもなるか。
私は彼をせせら笑いながら、その傷口に蹴りをぶちかます。
「うぎゃいあ!! い、いてえ!! いてえ!? な、なんでだ!? おいらの身体は竜の爪でも傷つけらんねぇんだぞ!?」
のたうち回るジェイソン。衝撃吸収だかなんだか知らないけれど、体内は鍛えられないのね。ウインが手を置いて、体内に風の刃を形成したら簡単に斬れたわ。
ウインが両手から風の刃を飛ばす。ジェイソンは慌てて躱すが、その動きを読んでいた私が膝蹴りを傷口を抑える手に叩き込む。
「んがげがらげげげけんちゃ!!!」
ワケの分からない叫び声をあげたジェイソンは、半泣きになりながらも立ち上がる。
「お、おいらの身体に傷をつけたな……!? 許さん、許さねぇゾゾゾぉぉぉごががぎがぁ!?」
透明になっていたウインに、今度は左腕を斬り落とされるジェイソン。傷口を押さえることも出来ず、膝から崩れ落ちた。
「あ、あがが……」
「思ったより強かったわね。改造人間なんてものがこの世界にいるなんてね」
ウインが両膝に手を置き、切断。手足をもがれて動けなくなったジェイソンは、地面で蠢きながら涙を流した。
「ま、まっでぐれぇ! お、オイラはオルカの命令で動いてただけなんだぐぁぎゃいああああ!!!」
「そうなの。安心して? ちゃんとオルカの手足も斬り落とすから」
そう言いながら、ジェイソンの頭を蹴り飛ばす。手足の傷口をフレアの炎で焼いて血を止める。
「ひっ、ひっは、ひいっ!」
「まだ殺さないわ。さて、最後は……」
そう言いながらオルカを見ると、彼は懐から箱を取り出した。箱……というよりもカメラみたいな形状をしている。
彼は冷徹で冷静な表情で私に目を向けると、レンズ部分を私に向けた。
「失礼しましたな、イザベル様。貴方を見誤っていたようだ」
そして箱をこちらに向け、宝石のような物を取り出し――
「っ! 使わせんな! 全員死ぬぞ!!」
――壁際で寝たフリをしていたマリンが飛び起きて叫ぶが、オルカは蔑むような目を彼に向けた。
「いいや限界だ使うね! さらばだイザベル様、再起したらまたお会いしよう!」
狂気の笑みを浮かべて叫ぶオルカ。手を緩めることなく宝石を――ジェイソンの尻に挿入した。
「おうっ」
「……は?」
呻くジェイソンと間抜けな声を出すオルカ。そんな彼らを見て、私の後ろでメスガキの笑い声が聞こえてきた。




