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30話――カラダ返せ③

 まぁでも……人は見た目じゃなくて中身って言うし……ってことは、面の皮が厚いのは私じゃなくてイザベル(真)の顔になるわよね。

 ごまかすために私は彼女にデコピンし、カーリーの方を見た。


「ダメよ。アンタ、カーリーに酷いことしてたじゃない。額を地面につけて謝らないと」


「なっ……!? わ、わたくしは体を奪われたんですわよ! いわば被害者ですわ!」


 信じられないとでも言わんばかりの表情になるイザベル(真)。そして埋まったままカーリーの方に視線を向け、牙を剥いた。


「第一! 親から売られていたところを拾ったのはわたくしですわ! 感謝されこそすれ、謝るべきことなどありませんわ!」


「アンタが拾ってあげたことに関しては、カーリーも感謝してるんじゃない? だからって、毎日ポンポン叩いていいってことじゃないでしょ。ほら、謝んなさいよ」


 そう言いながら、彼女にもう一回デコピンをする。

 そしてカーリーを手招きしてこちらに呼び寄せた。


「ほら、カーリー。あんた許せる?」


「無理です。いやまぁ、ボクに対する仕打ちもそうなんですけど、この領地をボロボロにして道連れにしようとしてきたことを怒ってます」


 あら、そっちなの。まぁでも、カーリーが最初に言ってたのもそっちだったわね。

 イザベル(真)はそう言われて、むうと唇を尖らせる。


「うぐぐ……だって何も知らなかったんですわ! 誰も教えてくれませんでしたもの!」


「子供みたいなこと言ってるんじゃないわよ。ってかアンタが親を追い出したんでしょうが」


「それはそうなんですけれども! ……イヤですわ、イヤですわ! カーリーにお詫びなんてしたくないですわ! 無理やり体を奪われて、しかもお詫びなんてどんな仕打ちですの!?」


「じゃあ埋めたまま行くわね」


「お待ち下さいな!! そ、それだけはご勘弁くださいな!」


 半泣きで呼び止めるイザベル(真)。その姿にちょっとゾクッと来たけれども、私は咳払いして彼女に話しかける。


「……なんでちょっと顔を赤らめてますの」


「へ? いや私、可愛い女の子が泣きそうな顔になってるの見るとテンション上がるのよね」


 妙にいじめたくなるというか。

 でも誰でもいいわけじゃない。たとえばレイラちゃんは美人なのに、彼女が研究室を爆破して涙目になった時は、ドロップキックをぶちかましたくなったからね。

 相手とシチュエーションは大切だ。


「ドSですわ!! ド級の変態、ド変態ですわー!! 女の子が縛られてくすぐられたりする絵で興奮するタイプですわ!」


「でも可哀想なのはNG」


「今のわたくしは可哀想では無いと!?」


「だって、自業自得じゃない」

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