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30話――カラダ返せ②

 そして私の懐に入って、私の袖と襟を掴んだ。


「もらいましたわぁー!!!」


 裂帛の気合いと共に、叫ぶイザベル(真)。足を私の膝に当て、力を込めて……何も起きなかった。


「…………?」


 イザベル(真)は一回手を離し、不思議そうに首を傾げる。私の真正面に立ち、もう一度袖と襟をつかんだ。


「もらいましたわぁああああ!!」


 さっき以上の気迫で、思いっきり力を籠めるイザベル(真)。そしてやっぱり何も起きず、彼女は手を離した。


「どういうことなんですの!? 地面に根を張った巨木よりも動かないんですけども!?」


「そりゃあ……ほら、体幹が強いから」


「体幹ってのは魔法のワードじゃねぇんですわよ!? 柔よく剛を制すって言葉を知らねぇんですの!?」


 声が荒ぶってるわねぇ。ちなみにその言葉は、『柔よく剛を制し、弱よく強を制す』という続きがある。別に技術があればフィジカルで勝る相手にも勝てるって言葉ではなく、元は兵を運用する際の心構えみたいなものだったはず。

 こっちの世界でも似たような言葉あるのね。


「投げが無理なら当身ですわぁああ!」


 なかなか隙の無い動作でこちらを殴るイザベル(真)。私はそれを軽く回避し、見様見真似でさっきイザベル(真)が私にやった投げをやってみる。


「それっ」


「だぁあああきゃあああああええええええ!?!?」


 イザベル(真)は、みょうちくりんな声をあげながらひっくり返った。そして地面に大の字型の穴を開けて、思いっきり沈み込む。

 綺麗な衣服も若干泥だらけになった彼女は……呆然と私の方を見た。


「い、今のなんですの……?」


「見様見真似だけど、上手だったでしょ?」


「いや今、胸倉を強引に掴まれて地面に叩きつけられましたわ!? 微塵も技を感じませんでしたけど!? っていうか、地面から抜けない! た、助けて! 助けてくださいまし!?」


 わにゃわにゃと地面の中でもがくイザベル(真)。……原作ゲームをやっていた頃は、もう少しトゲトゲした印象であんまり好きじゃなかったけど、今の彼女は結構いいわね。

 いじめ甲斐がある。

 私は彼女の横にしゃがみ込み、両頬をつまんでみる。


「ふぁ、ふぁふぃふふんへふの!」


「いやなんか、さっきまで意気揚々とぶっ飛ばしに来た相手に助けを求めるって……どんな面の皮をしてるのか気になって」


「元は貴女の顔でしょう!?」


 そういえばそうだった。

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